投稿日:2017年2月19日
2016年の新築一戸建て分譲の住宅着工戸数は13万3739戸で前年比+8.2%増えました。3年振りの13万戸復帰で、過去10年間の平均が11万9870戸ですから過去10年間で最高水準と言えます。超低金利により低年収層が購買に動いたことによるものです。
行政別にみると
東京23区が9813戸でトップです。二位の横浜市が6902戸ですから3000戸近くも多いというダントツの多さです。ただ前年比は+4%で全国の+8.2%よりは小さくなっています。都心10区など販売価格が高いエリアが減っているためです。それを練馬区や足立区など比較的に販売価格が低い区が着工戸数を増やしていてなんとか前年比をプラスにしてます。
二番目は横浜市で6902戸です。こちらも三位のさいたま市より+3700戸近くも多くなっています。前年比で+7%でほぼ全国に近い伸び率となっています。戸塚区+26%や港北区+21%などが伸びています。東急線沿線の人気が高くなっています。
三番目はさいたま市で3244戸で前年比+10%と伸びて首都圏の県庁所在市では最大の伸びとなりました。緑区が前年比+17%と伸ばしています。埼玉高速鉄道の浦和美園駅周辺のURの大規模土地開発で分譲が着工されてきたためです。
四番目は首都圏以外ではトップとなる名古屋市で3121戸で前年比+7%。守山区が412戸で前年比+31%、北区が291戸で前年比+46%、港区が172戸で前年比+56%と伸ばしています。守山区は20区画以上の大型分譲が多数出たためで、北区は名鉄小牧線駅徒歩20分前後で区画数5棟前後が2580万くらいと安いために売れているためです。
そして五番目は大阪市で2627戸で前年比▼3%と減っています。土地価格が上がっていて販売価格が上がっているのですが、土地は平均で74㎡と小さくなっていて日当たりなど周辺環境も悪くなっているためです。
六番目は川崎市で2345戸で前年比▼8%と首都圏の主要市では2市しかない前年マイナスとなっています。川崎区が前年比▼17%、宮前区が前年比▼19%で、高津区が▼23%、幸区が▼21%と主要区が軒並み前年マイナスとなっています。川崎区が販売平均4154万円と地元需要相場観3980万円より200万円弱上がってしまい、宮前区は販売平均4416万円、高津区の販売平均は4362万円と上がっていて、地元需要価格と乖離が出ているためです。また犯罪発生率が川崎区で2.21%と高くて横浜市青葉区の0.68%と比べると防犯面で不安が広がっていることもあります。また待機児童人数が89人に減ったと川崎市は報告していますが、保育申請数は2万6896人に対して、保育人数は2万3212人ですから、希望通りでなかったのは3684人です。これらは別の施策などで対応しているので計算上では89人になるのですが、しかたなくそうしているだけで実質は3000人を超えているといえます。これらは母親の不満につながり、川崎市への不満につながっています。そのため戸建分譲の着工戸数が減っているのです。
このように戸建分譲の着工は全国として増えていますが、販売しやすい・建てやすいエリアで増やしていて、地元住民として買いたい価格ではないとか、防犯・教育環境が不満なエリアは減っています。健全な成長という点からすると疑問は残ります。
少子化対策として子育て環境の整備とか、衰退している地域の活性化など、現代日本として求められているものはできていません。
栃木市が「住みたい田舎」ナンバーワンになったように、地域と住民と住宅企業が一緒になって子育て・生活・住宅・勤務環境を創成することが戸建分譲の果たすべき役割と考えます。