投稿日:2015年4月30日
2015年3月の住宅着工戸数が国土交通省より発表されました。総数で6万8977戸で前年同月比で+0.7%と13ケ月振りのプラスになりました。ただ貸家以外は全て前年同月比マイナスとなっていて全般的に前年マイナス基調は続いているといえます。また2014年度の一年間では88万470戸で前年度比▼10.8%とマイナスとなりました。2013年度は消費増税駆け込みで98万戸と大きく増えたのでマイナスは仕方ないとしても、2012年度の89万戸と比較しても低調です。
2013年3月の住宅着工戸数の内訳をみると
貸家は3万243戸で昨年12月以来の3万戸超えで前年同月比+4.6%と好調です。東京都・神奈川県・愛知県・大阪府と戸数の多い上位の件が全てプラスとなったためです。ただ全国では前年同月比マイナスが18県あり東北はマイナスとなるなど全国的にプラスというわけではなくて、大都会への金融緩和マネーによる投資が押し上げているといえます。
そして持家▼1.4%で、マンション▼8.6%、分譲一戸建て▼1.6%とその他の業態は全てマイナスとなっています。
特に持家は消費増税駆け込みの反動減の影響が消えたのですが前年同月マイナスとなってしまいました。地方圏は+0.4%と消費増税反動減の影響から脱しているのですが、首都圏が▼5.2%とマイナスとなり、中部圏も▼1.1%、近畿圏も▼2.1%と大都市圏が全てマイナスとなっています。これは「土地無し客」と呼ばれる土地を購入して注文住宅を建てるという大都市圏の注文住宅の半分以上を占める客が土地高騰により購入金額が住宅ローン設定可能額を超えているためです。
そしてマンションは前年同月比▼8.6%とマイナス幅が最大となり、戸数は7575戸で昨年6月以来の7000戸台と低迷しました。東京都は前年同月比+1.0%となんとかプラスとなったのですが、大阪府が▼34.5%と大きく減らしたことが全体を押し下げました。ただ愛知県も前年同月比+83.3%で戸数で全国3位と好調でした。東京の一極集中の構図に愛知県が加わりつつあります。しかし首都圏・中部圏・近畿圏以外は▼31%と低迷している上に戸数で1322戸しかなくて地方圏38県を合わせても東京都の半分しかないというマンション不毛となっています。ここでも東京都を中心とする金融緩和マネーの投資資金が入り込んで住宅着工を押し上げているのがみてとれます。
そして新築一戸建て分譲の住宅着工戸数は前年同月比▼1.6%で11ケ月連続でマイナスとなりました。また1万戸割れも3ケ月連続となり低迷しています。こちらは中部圏が前年同月比▼13.8%と大きく減らしたのが要因です。土地価格が上がり、販売価格が上がってしまったために、地元需要価格とのかい離がおきています。そのため地元需要では住宅ローン設定可能額をこえてしまっているために契約が低調となっていて、着工が低迷しています。これは近畿圏でも同じことがおきていて前年同月比▼1.3%と低迷しました。しかし首都圏は前年同月比+0.3%とかろうじてプラスとなりました。土地の上昇という点では中部圏・近畿圏と同じなのですが、東京都と神奈川県の契約が好調に推移しています。その理由として、ひとつには大手企業の本社勤務者が多いので高年収の人数が多いために少々の価格上昇でも需要は大きく減らないことがあります。また土地や証券などの資産を持っている人が多いために、それが反転上昇して資産効果がおきていて新規購入意欲が強いことがあります。この意味では首都圏一極集中と言えます。戸数においても首都圏は全国の46%と高くなってきています。