投稿日:2015年1月30日
住宅着工の2014年12月が国土交通省より発表されましたが、前年同月比▼14.7%で10ケ月連続のマイナスで7月以降は6ケ月連続で2桁マイナスと着工の低迷が続いています。特に持家(注文住宅)が5月以降全ての月で前年同月比▼20%以下と不振が続いています。全体的には「価格上昇による需要減少がベースですが、貸家相続対策建築ラッシュと分譲戸建ての事業者計画による建て過ぎ」であったといえます。
2014年12月の住宅着工戸数は7万6416戸で前年同月比▼14.7%と低迷しました。持家が前年同月比▼25.5%と大きく減らしています。貸家も前年同月比▼8.9%と前年割れとなりました。マンションも8709戸で1万戸割れとなり前年同月比▼10.5%と低迷しています。そして分譲一戸建ては1万763戸となんとか1万戸は超えましたが前年同月比では▼10.5%と減っています。
住宅着工の合計戸数の月別の推移をみてみると
平成26年度の推移は昨年の25年度線よりもその前の平成24年度線に近い動きとなっています。昨年度は消費増税により底上げされているので上方乖離しているためです。ただ平成24年度の4月から12月の累計と今年度の累計を比較すると▼1万戸・▼1.2%減っています。平成24年度は10月と11月に貸家の消費増税駆け込み着工の第一弾が起きていて、それが約1万7000戸ありますので平成24年度の実質と平成26年度はほぼ一緒と言えます。
つまり前年同月比は大きくマイナスですが、平成24年度線と同じということはほぼ需要通りの着工になっているといえます。
ただ着工形態別の平成24年度比較をすると事情が変わります。
4月から12月の全体は平成24年度同期比較では▼1.2%ですが、持ち家は▼12.0%と大きく減っています。しかし貸家は逆に+11.1%と増えています。そしてマンションは▼10.6%と減っていますが、分譲一戸建ては+15.4%と大きく増えています。これは貸家は今年度に入っても基礎需要よりは増えているということです。相続税対策の貸家建設が多いためです。また分譲一戸建てはさらに同期比比較で大きくプラスとなっています。これは契約好調というよりも戸建分譲事業者がすでに事業用の土地を買ってしまっているために、それらを順次着工しているということです。
つまり持家=注文住宅は増税反動減というより、建設価格の上昇と土地価格の上昇により借家の人が新築を建てた時の総額=住宅ローン設定額が現在家賃より高くなってしまっていて需要が減退しているという側面が大きいと言えます。
またマンションは土地費用と建築費用が高くなり地元の家賃相場よりの新築需要価格よりももはるかに高い価格設定となってしまうために事業化を見送っているために低迷しています。そのため県別の着工戸数でマンションが1000戸維持用となっているのは東京都のみになっています。東京都だけが投資対象となり価格が少々高くなっても売れているためです。
この持家とマンションは価格上昇による需要減退といえます。そして貸家は相続対策による着工増で、分譲一戸建ては需要と乖離した事業者の供給計画による着工増といえて、総括すると「価格上昇による需要減少がベースだが、相続対策貸家建設と分譲戸建の建て過ぎ」であると言えます。
そしてこの貸家の相続帯による建築ラッシュは需要が伴わないためいずれ賃貸稼働率の低下をもたらし、分譲戸建ての建てすぎは在庫増による調整局面がくるといえます。