投稿日:2015年1月8日
新築一戸建て分譲の買い時はいつでしょうか?
「家賃を払い続けるのと新築一戸建て分譲を買うのはどっちが得か」ということになりますが、一般的には金融的価値のみを計算してしまっています。しかし新築一戸建て分譲に住んでいる人は、それ以外の価値を感じています。それを理解しないと「買い時感」は理解できません。
まず、今買うとしたら将来金融価値はどうなるか計算してみます。
埼玉県熊谷市を例にします。
熊谷市の販売で一番多い熊谷駅徒歩20分から40分の物件を対象として、全額住宅ローンを35年固定で組む。2014年の中古成約価格を建築年毎に集計して築年経過価格を算出する。それで残存価値を計算します。
・2014年12月の新築一戸建て分譲の販売平均 2680万円。住宅ローン残高を2380万円とすると残存価値はゼロ。
・建築後1年経った物件の中古契約平均価格 2380万円。ローン残高は2605万円なので価値は▼225万円
・建築後5年経った物件の中古契約平均価格 1980万円。ローン残高は2305万円なので価値は▼200万円
・建築後10年経った物件の中古契約平均価格 1730万円。ローン残高は1930万円なので価値は▼200万円
・建築後20年経った物件の中古契約平均価格 1230万円。ローン残高は1180万円なので価値は+50万円。
・建築後30年経った物件の中古契約平均価格 880万円。ローン残高は430万円なので価値は+450万円。
新築一戸建て分譲は買ってすぐに価格形成理論が変わります。
新築一戸建て分譲の販売時には販売企業の都合で価格が決定されます。それが一般中古物件として販売するようになると
「土地路線価×土地坪数 + 建物減価償却残存価格 ± 人気度・売り急ぎ度」が計算根拠になります。
そのため新築一戸建て分譲を購入後すぐに価値が10%から20%落ちることになります。
熊谷市で言えば300万円落ちることになり、それが住宅ローン残高と物件価値の差である残存価値をマイナス225万円にしてしまう要因です。
そして建築後30年までは土地の価値は変わらずに建物の残存価値が減価償却分だけ毎年残存価値から減っていきます。
その建物の減価償却がゼロに近づくと、後は土地の価値のみとなります。
その間、住宅ローン残高は毎年35年払いのため35分一づつ減っていきます。
その建物の減価償却と住宅ローン残高のマイナスの結果としての残存価値がプラスに転じるのが建築後19年になります。
つまり新築一戸建て分譲は購入後20年以降であれば残存価値はプラスになり中古売却しても「得」になるということです。
ということは熊谷市熊谷駅徒歩20分から40分の物件は、今の住宅ローン金利であれば20年以上住み続けるといことであれば「買い得」になるといえます。ただし、20年以内に売ることになると「損」になり賃貸の方が得になります。
このように「家賃 = 住宅ローンの月々の支払」の物件であれば「買い得」になるといえます。
但し、建築後20年までの修繕費やメンテナンス費用を計算に入れていません。通常は10年毎に屋根の塗装と外壁塗装と給湯器・エアコンなどの設備の更新が必要でそれらの概算で150万円くらいかかるので建築後20年であれば合計で300万円かかることになります。20年で割れば一年で15万円で月々で1万円強ということになります。分譲マンションの修繕積立金と似た額になります。それを加える必要があるでしょう。
そしてこの金融価値以上に新築一戸建てにとって大事な価値とは、「子供の成長」「家族の幸せ」という大きな価値です。
子供に部屋を持たせて勉強・自立をさせる、新築一戸建て分譲ならではのコミュニティ道路で近所の子供同士で遊ぶことがでて社会性・社交性の確立を促すとか、ママはママ友を呼んでいろいろな情報交換ができて子育てノイローゼにならない、などの新築一戸建て分譲ならではの「見えない価値」があります。
これは、日本は古来より共同社会の中で生きてきました。農村共同体に始まり、下町長屋や町内会などのコミュニティで子育て・家族形成をしてきたのですが、近年はそれが失われています。注文住宅は「隣はだれか知っているが、あいさつをする程度でかかわりは全く無い」ということがほとんどで、最近の町内会はお祭りもなく運動会もありません。ですからコミュニティは形成されません。分譲マンションなどは「隣は表札もないので名前も知らないし、見たことも無い」という状態ですのでコミュニティ形成などありえなくて、「都会のマンションでの子育て孤立」が多いです。それで「子育てノイローゼ」になる人が多いのですが、新築一戸建て分譲のみが日本古来の共同社会を継続しているといえます。コミュニティ道路を中心に自治会を組んだり、小学校登下校の班を組んだり、ゴミ出しとか周辺掃除など全てが絡み合いコミュニティが形成されます。その中でも子供が友達をつくりやすいのがいいです。それが新築一戸建て分譲だけにある価値といえます。
この「絆」形成の価値を住宅購入の際にしっかり考えるべきでしょう。なにしろ住宅購入の一番の動機は「子供の成長」「家族が安心して暮らせる」ためですから。
つまり新築一戸建てには金融価値と家族価値があるのでそれを合わせて、「賃貸か所有か」の買い時を判断しなければなりません。となると30歳過ぎで子供が小学校前後のファミリーで、安定した職業・収入が見込める世帯は家賃の多さに関係なく新築一戸建て分譲が「買い時」であるといえます。