投稿日:2014年11月29日
住宅着工の2014年10月が国土交通省より発表されました。合計では7万9171戸で前年同月比▼12.3%となり今年3月以降の8ケ月連続でのマイナスとなりました。持家が前年同月比▼28.6%と大きく減ったのが主要因です。
業態別の戸数をみると
持家が2万4245戸で前年同月の3万3967戸から▼28.6%と大きく減りました。これで今年2月以降の9ケ月連続での前年同月比マイナスとなります。特に7月以降は前年同月比▼25%と消費増税の反動減のみならず需要の低下が響いています。住宅一次取得人口の人数の減少による需要総量の低下が主要因ですが、それに加えて実質所得の低下が加わり、さらに住宅ストックの総数の多さにより新築住宅取得価格が高くなると、親の実家をリフォームして住んだり、中古住宅を購入したりすることが多くなっています。全国で空家の増加が問題となっていますが、それが新築住宅建設の抑制要因ともなっています。
また貸家も前年同月比▼4.1%と減り7月以降4ケ月連続でマイナスとなりました。主には相続増税対策としての貸家建設のブームがピークを迎えたためです。また着工戸数は3万3628戸と3万戸を超えているので、そこそこの戸数はできているのですが、東京5763戸(前年同月比+5.1%)や大阪府2301戸、福岡1906戸(前年同月比+15.5%)、北海道1881戸(前年同月比+5.4%)など大都市での貸家建設が多くて、賃貸需要はあるのですがそれ以上の建設戸数になっていると言えて、金融緩和などの追い風を受けた「建て過ぎ」の様相をみせています。そのため、11月から始まっている賃貸入居のピークが終わる来年3月末の稼働率の低下次第では建設にブレーキがかかるものと思えます。
そしてマンションは唯一の前年同月比プラスとなりました。ただ戸数は1万495戸で決して多い数字ではありません。前年同月の10月が8509戸と大きく落ち込んだために前年同月比が大きくなつただけです。ただ今年始めの9000戸割れは脱して、直近3ケ月は月平均1万211戸となりそこそこの数字はできているといえます。しかし東京都が4870戸(前年同月比+95.7%)と一局集中となっています。都心大型マンションは立地が良いと「即日完売」で売れています。しかし東京圏でも郊外で駅から遠い立地だと完成在庫となっていて契約は低迷しています。また低額のマンションは建設費の高騰により事業化を見送る事例が続出していますが、都心の一等地は用地仕入れが活発です。そのため今後も1万戸前後の着工となり東京都が5000戸前後の着工となるのが続くと考えられます。
新築一戸建て分譲の着工戸数は前年同月比▼13.8%となり5月以降の6ケ月連続でのマイナスとなりました。特に8月以降は平均で▼12.6%となり低迷しています。販売在庫の多さが足を引っ張っているといえます。各新築一戸建てビルダーが昨年の好調を受けて今年の販売の用地仕入れを拡大させた結果といえます。ただ、足元の需要が低迷しているために在庫が増えています。それで「建築しない着工」が増えています。これは建築確認をとるので統計上では「着工戸数」にカウントされるのですが、建築費の節約のためと販売の長期化により完成在庫を防ぐために、契約出来次第にち建築着工に入るものです。「いわゆる「青田売り」です。これは現在の手持ち用地がある間は続きますので、来年1月までは続くと考えられます。そして来年2月以降に1万戸割れとなると推測されます。