投稿日:2014年11月20日
「地盤.jp」が地盤改良に関するアンケートを行いました。その結果、住宅未購入者で「地盤改良の検討の必要があること」を知らないが54%で、すでに住宅を購入した人では「地盤改良がどのような工事内容か知らない」という人が64%と地盤改良の意識が低いことが示されました。東日本大震災から3年半が過ぎて、マスコミ等で騒がなくなったので地盤に対する意識が下がっているといえます。
住宅未購入者に対する質問で「マイホームを検討するときに地盤調査や地盤改良の検討をする必要があることを知っているか」に対する回答で
・知っていた 46.1% (2012年は47.8%なので▼1.7%)
・知らなかった 53.9% (2012年は52.2%なので+1.7%)
となっていて今年の回答は2012年よりも悪化しているのがわかります。
そして住宅購入者に対する質問で「ご自身のマイホームがどのような工法で地盤改良されたか知っているか」に対する回答で
・把握している 36.2% (2012年は36.0%なので+0.2%)
・把握していない 63.8% (2012年は64.0%なので▼0.2%)
となっていて2012年とあまり変わらずに把握していない人が多くいます。
しかし「マイホーム購入にあたり地盤改良が必要であるとしたにどう考えるか」の質問に対して
①「地盤改良のリスクやコストについてきちんと説明を受けたい」54.6%
②「土壌汚染のリスクの無い地盤改良の工法を選びたい」43.6%
③「不動産価値の目減りが無い地盤改良の工法を選びたい」31.6%
となっていて説明を受けたいという意識は高いものがあります。そして地盤改良によりおこる土壌汚染や不動産価格の下落リスクも知りたいという意識がみえます。とすると、地盤改良の必要性について販売業者が積極的な情報開示を怠っているせいで、地盤改良に対する意識が低くなっているともいえます。
ただ地盤改良の工法の説明はできても、液状化や不同沈下についてはデータ・理論が不足しているために十分な説明ができていない状態です。想定される地震の場所と規模が違えば地盤の影響は大きく違います。特に今回の東日本大震災による液状化の被害が出たところは長期波動が伝わりやすい地形と地盤であったために被害が出ましたが、だれも事前に予測できていませんでした。そして現在でも同じ状況であるといえます。
東日本大震災以降にボーリング調査は盛んに行なわれていて、そこの地盤の解析は首都圏ではかなり進んできています。しかし、一番おこりやすいとされている東南海大震災や首都圏直下型大地震が起きた時の長期波動がどんなものが起きるのかはシミュレーションができていません。今わかっているのは最大震度を発表している程度です。
こういう状況下では住宅販売業者は地盤改良の工法の説明はできても、その結果に対しては責任を持たないために積極的な説明はしていないのです。それは建築基準法に沿った工法で地盤改良して、それについて説明すれば宅建業法でも法を順守していて業者に瑕疵はないからです。不幸にして大地震がきて、不同沈下してしまったら、それは法を超えているので買った人の責任ということになるのです。つまり「業者は建築基準法・宅建業法を守って売ったのだから責任は無くて、買った人が不幸なだけ」ということで、現在の基準で「不知のリスク」は買う人が負うということです。これを販売業者が積極的に説明していないのが問題ということです。
「想定外」の災害がおきたら行政・業者は手に負えないということを、買う人は肝に銘じる必要があります。東日本大震災の被災者はいまだに仮設住宅に住まざるを得ない状態であることを「他山の石」としなければなりません。なにしろ「30年以内に70%の確率で起きる」のですから。
また柱状改良したら、その建物を解体する時は地盤改良したものも撤去しなければならず、コストか高くなることを知らなければなりません。今の多くの地盤改良は建物構造計算と地盤の構造計算により決まるので建物が変われば地盤改良も変わるのです。ということは建て替えする時は建物解体費+地盤撤去費がかかるために土地の価格がその分減額されるのです。これも業者は積極的に開示しません。
このように望ましくない方向に行っているために、いざ大地震が首都圏にきたら大きな被害となり、そこからの復興が難しくなることが予想されます。