投稿日:2014年10月29日
アベノミクスにより給料は上がっていますが、消費増税と円安により物価は上がってしまい生活は苦しくなっています。それを表す政府のマクロ統計データについて総務省統計局より解説が発表されました。それによると勤労統計調査と家計調査の指標の動きの違いはデータ収集の対象の違いであり景気が悪いことを示してはいないというものです。論旨は正しいのですが、これでは何のための統計か自己否定をしているようなものです。政権の周りの人より何らかの意見が出たためにこのようなことになったのでしようが、経済マクロ統計は日本の今の姿を知る上で重要なものなので、これを自ら否定することは市と欲しくないと思います。むしろ2つの指標がズレた要因を徹底分析して欲しかったです。
その勤労統計調査と家計調査の推移の比較をみると
この勤労統計調査の現金給与総額と家計調査の実収入の比較をみると動きの違いが明らかです。家計調査の実収入は消費増税後に大きく下がっていますが、現金給与総額は3月以降は伸びています。これの違いを民間エコノミストは物価上昇が大きくて給料の伸びが小さいために実収入は低迷したと説明しています。
一方、総務省統計局は、家計調査には贈与金とか仕送り金といったものが含まれていて、これらは高額になることがあり月での変動が大きくなることとなどが挙げられています。さらにそれらにより過去において大きくかい離している時期が多くあったとしています。
また、調査対象において、家計帳は勤労者世帯が対象だが、勤労統計調査は勤労者世帯・無職世帯は対象ですが、それ以外の世帯も含まれているといるために違いがると言っています。しかし、その違いが今回のかい離にどう影響しているかは説明していません。
普通に考えれば、年金世帯や低年収層が現在は実質収入がマイナスになっていると考えられているので指標の動きは下振れするはずですが、緩やかな上昇となっていて印象としては反対になっています。
その他として、年齢構成の違いなどを説明していますが、ディテールの論旨としては正しいのですが全体感として納得できるものになっていません。
「数字のマジック」というものが言われますが、マクロ統計がこれにはまってしまっては日本経済のパイロット役の信頼感を大きく損ねることになります。結果として日本政府の見解とIMFの出す経済見通しが違うものとなっている現状がさらに広がってしまうと考えられます。科学技術立国・日本としては大変恥ずかしいものです。「国民一流、行政二流、政治は三流」の典型といえます。