投稿日:2014年10月8日
東日本大震災による液状化現象で自宅に被害を受けた千葉県浦安市の住民36人が、宅地開発した三井不動産などに計約8億4000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が8日、東京地裁であり、松本利幸裁判長は請求を棄却した。
訴えていたのは、1981年に三井不動産が販売を開始した浦安市入船の新築一戸建て分譲住宅(全70戸)のうち計30戸の住民。東日本大震災による液状化で自宅が傾いたほか、給水管やガス管が破損するなどした。しかし三井不動産は付近の埋め立て事業を請け負っており、液状化しやすい地盤だと認識していたのではと住民は指摘していた。別業者が改良工事した近隣の土地では液状化による被害は発生しておらず、「工事していれば防止できた」などと訴えていた。
これに対して三井不動産側は「当時の建築基準法などの基準や地盤の知識・技術水準では深刻な液状化被害は予見できなかった」と反論ししていた。1981年は建築基準法が改正になり「新耐震基準」と呼ばれるものとなり、1980年以前よりは耐震機能が強化されましたが、この当時基準では地盤の構造計算などの規定はありませんでした。そのために新築一戸建て分譲に対しては地盤の調査や改良は義務付けられておらず、ほとんどの業者が行っていませんでした。この当時に行われていたのは、中高層建築における地盤対策のみで、住民側が指摘する近隣の事例も、中層住宅の基準を低層集合住宅建築物に適用したものです。
そのため法律的判断としては「違法性」は無いということになります。また宅建法の「告知義務」としても浦安市の地盤で液状化が起きると予想していた人はいないし、行政の情報でもそうなってはいませんでしたので、告知義務違反にも当たらないといえます。
今回の浦安市の液状化はそれ以前の法的基準では対応できないもので不幸であるといえます。これによって行政の調査・公示が急速に進み知見が蓄積されてきました。この一連のことを液状化危険エリアに住む人達はしっかりと見つめる必要があると思います。
住民にとってはとても不幸なことですが、それは業者も行政も法的には救いの手を差し伸べることができないとなると自分で対処するしかないことを肝に銘じるべきです。
自分の家は自分で勉強・研究して守るべきでしょう。