投稿日:2014年9月18日
住宅や自動車の契約低迷により景気が減速しています。その要因は消費支出額の上昇によるものです。2014年7月のマクロ指標が出揃ったのでそれでみてみると。
総務省の「家計調査報告」による二人以上世帯の賃貸住宅(民営借家)の消費支出額は28万8852円で前年同月比+5600円(+2.0%)増えました。これはガソリン代やガス代の値上げで2万300円増えたのが大きくて、それを交通費や一般外食や家賃を減らすなどして1万円以上減らすことで+5600円に収めているので、物価上昇などによる消費支出の実質の増加は1万5000円(+5.3%)となります。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査」の月間現金給与によると、2014年7月の所定内給与は前年同月比で+1688円(+0.7%)上がりました。ただ支出増+5600円と比較すると、実質の収支は▼3912円とマイナスとなっています。
さらに産業別労働者人数において、正社員の人数は前年同月より52万人増えているのですが、増えている産業は「医療・福祉」+20万人とほとんどとなっています。しかし「医療・福祉」の所定内給与の平均月額が23万4768円で産業別では16産業で12位と下位で全産業平均の24万2840円よりも低くなっています。
ところが、人数も多くて給与額も多い「製造業」の従業員数が減っています。2014年7月は695万人で前年同月比▼7000人減りました。この製造業の所定内給与は27万5971円あり全平均より高くて賞与の額も多いために住宅・自動車のいい購入者でした。
このように労働者の正社員は増えているのですが、産業間の変化により住宅需要としては減ってしまっているのです。
総務省の「人口推計」から年齢別人口をみると、住宅購入世代である30歳人口が減ってしまっています。7月末現在では1622万人で前年同月より▼55万人(▼3.3%)も減ってしまっています。1971年から1974年生まれで790万人もいる団塊ジュニアが40歳を超えてしまったためです。
つまり
① 物価上昇による家計消費の収支の悪化(▼3912円・▼1.4%)
② 製造業の正社員の減少(▼0.1%)
③ 30歳代人口の減少(▼3.3%)
この3つの要因を合わせると▼4.8%の需要減少となってしまいます。
住宅需要の形成には様々な影響因子がからみますので単純には計算できませんが、2014年7月の住宅需要の減少は確実であつたと言えます。