投稿日:2014年8月28日
土地の価格がアベノミクスによるデフレ脱出により上昇傾向にあると言われていますが、ここにきて場所によっては下降に転じているところも出てきています。
埼玉県の住宅地の200㎡以上の成約価格の推移をみてみると
アベノミクス前の2012年12月には成約坪単価は28万円まで落ちていましたが、その後上昇に転じてふ2013年4月から6月には成約平均坪単価が40万円を超えるまでに上昇しました。金融緩和による資金流入と景気回復期待と超低金利による住宅購入意欲の高まりに消費増税駆け込み需要目当ての着工分の土地成約が起きたためです。
それが8月には落ち着いて33万円まで下げました。その後半年は平均33万円の相場で推移しました。この33万円は落ち着きどころの価格と言えます。
そして2014年2月に再び上げて38万円となり、4月にも38万円となりました。ここまでは土地上昇期待の相場といえます。
ところが7月に28万円まで落ち込んでしまいました。2012年12月以来の30万割れでアベノミクス以前の価格に戻ってしまいました。そして8月はさらに下落して26万円まで落ちてしまいました。特に8月は取引件数も大きく減っています。
これは新築一戸建て分譲の完成在庫の多さにより、土地仕入れを少し減らしているといえます。また分譲マンションも建築費の高騰により郊外での販売では地元需要価格と販売価格のかい離が大きくなるために事業を見送り土地仕入れをしなくなっていることもあります。
この背景にはインフレとなり建築コストなどは上がっているのですが、消費者の購買金額はあがっていないということがあります。新築分譲住宅の場合の購入金額の元は賃貸住宅の家賃がベースとなります。「家賃並みの住宅ローン支払いで新築住宅を購入する」が基本だからです。しかしその家賃が上がっていません。本来なら新築賃貸住宅が相場を上げるのですが、郊外では新築賃貸住宅の建設が多すぎて需要をはるかに超えているために入居を促進のために家賃を抑えるということになっています。そしてその新築賃貸住宅の多さにより、築古の賃貸住宅の入居のためには通常相場よりも下げないといけないことになってしまっています。つまり新築賃貸住宅の多さが新築分譲住宅にも多大な影響を与えているということです。
それがめぐって土地の価格の下落につながっています。
ただアベノミクスのインフレ政策による土地上昇を見込んで土地の売却期待価格があがっているので「売り出し物件価格」はまだ上がったままです。とすると買い手の希望価格とのギャップが広がり土地取引か減少するということになっています。特に、埼玉県でも人気地のさいたま市などの取引が減っています。現在でもさいたま市浦和区の土地相場価格は坪90万円以上ですから、30坪だと土地だけで3000万円を超えます。そこに建物1500万円を建てて新築一戸建て分譲にすると販売価格で5500万円を超えてしまいます。これでは年収の6倍とすると年収900万円以上の人のみが買えるということになり、地元の人で買える人は少ないといえます。
つまり8月の土地下落の背景は「需要とのかい離」ということになります。この需要はそうそう変動するものではないので、供給サイドが需要に近づかないと取引は成立しないといことになります。とすると埼玉県の土地価格の上昇相場は終わったといえます。