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新築一戸建ての最大手の飯田ホールディングスの決算短信の分析

投稿日:2014年6月27日

新築一戸建て分譲の最大手である飯田ホールディングス株式会社の平成26年3月期の決算短信が発表になっています。

一昨年に6社合併したために前期比較は無いので、単期のみの数値分析になりますが、売上総利益は16.8%で「低粗利」と言えます。
それでも経常利益率が7.3%と高いのは販管費が9.2%と低いためです。その販管費が低いのは「低粗利高回転」のためです。
しかし、今回の決算短信をよくよく見ると、「販売用不動産」が1359億円で「仕掛販売用不動産」が3418億円あり合計すると4778億円あります。期首の「仕掛販売用不動産」がわからないために純粋な回転率が計算できませんが、仮に期首の仕掛用販売不動産を3000億円とすれば合計で4300億円となり回転率は1.7回転となります。今回の決算短信によると経営目標は2回転なのでやや低かったといえます。ただ一般の戸建分譲企業は1.5回転弱なので20%以上は経営効率が良いといえます。
それは「低価格」による販売戸数の多さによるものと言えます。

6社合計の生産戸数は2万3582戸と業界二番手グループの2000戸前後から大きく離しています。そしてその平均価格は2665万円と業界最安値となっているためです。
そしてそれを支える施工の低コスト生産体制と部資材の低コスト調達体制があります。建築原価の明細が発表されていませんが、900万円前後であると考えられます。
そしてその建築原価の安さがあるために用地取得は強気で買うことができて生産戸数2万戸以上という「低価格高回転」が実現できています。
ただ今回の決算短信での唯一の悪い点はキャッシュフローが▼144億円の赤字ということです。全体売上が7000億円を超えていて、現預金が1292億円あるので影響は軽微ではあります。そしてこれは次期のための用地仕入れの拡大によるものなので、成長期の企業にみられることも言えます。
その時に問題なのは、前期は消費増税駆け込みで戸建分譲の住宅着工は13.3万戸で前年比+7.5%伸びたので良かったですが、今期はその反動減で12万戸を割ると考えられています。その業界全体と同じとなると増やした販売用仕掛不動産が多すぎて回転率を下げることになるとともにキヤッシュフローの大幅赤字を招くことになります。
仮に住宅着工が▼10%減るとして売上が▼10%減るとしたら、回転率は1.4回転まで落ちることになりキヤッシュフローの赤字は1000億円近くになり、現預金1292億円の大半を使い切ることになります。
このキヤッシュフローの大赤字を防ぐにはシェアを高める必要があります。現在の17.7%から21.1%まで上げないといけないということになります。
しかし、このシェアアップのためには、「家賃並みの住宅ローンで買える」土地だけでなく、少し高めで少し立地の悪い用地を買って、家賃より高く売るために、お客様に付加価値分を認めてもらわなければなくなります。これは「業界最安値」では無く、「ブランド・付加価値」になります。その企画・販売ノウハウをつけなければならないということです。
つまり飯田ホールディングスの経営の特徴である「低価格高回転経営」に加えて、新しいビジネスモデルを入れないとないといけないということになります。

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