投稿日:2014年5月22日
アトラクターズラボが新築一戸建て分譲住宅の2013年度の市場動向を発表しました。それによると契約戸数は12万8821戸で前年度比+5.0%と伸びましたが、住宅着工戸数の13万3900戸には届きませんでした。消費増税の駆け込み需要が12月・1月と落ち込んだことによるものです。価格は建築コストの上昇を受けて新規販売価格が前年度比+1.6%上がり、契約平均価格も+2.0%上がりました。
新築一戸建ての2013年度の市場動向のまとめとしては
国土交通省の新設住宅着工の「分譲戸建」は13万3900戸で前年度比+7.5%と増えました。それを受けて新規販売戸数も13万3574戸で前年度比+5.8%と増えました。ただ契約戸数は12万8821戸で前年度比+5.0%の伸びにとどまりました。
それを月別の推移をみてみると
住宅着工は12月まで1万2000戸近い戸数で増えましたが、1月から大きく減って2月には1万戸割れとなり消費増税の駆け込み需要分の着工は12月まででした。ただこれは12月に着工しても工期的に3月の引き渡しに間に合わない場合が多いため、遅いといえます。職人不足による施工能力不足で本来は9月までぐらいに着工したかったものが3ケ月くいらズレ込んだ結果といえます。
そのため新規販売戸数は9月・10月が少なくて11月がピークとなりました。9月にピークをもっていきたかったのですが2ケ月遅かったと言えます。
その新規販売戸数と契約戸数は似た動きをするために契約は9月が少なくなりました。本来は9月に新規販売が多ければ契約も年間のピークとなるはずが、売るものが少なかった分だけ契約が伸びませんでした。その分が11月に新規販売されましたが、すでに消費増税駆け込みの第一波はおわってしまい、通年の契約戸数としては伸び悩む結果となりました。
ただ3月に消費増税の最後の駆け込み需要となる完成在庫の契約を1万3000戸と大量にしたために前年度比としては+5.0%増えたという帳尻り合わせとなりました。]
その着工・新規販売と契約の月のズレがあったために契約率は20.3%と低迷しました。
そして価格の月別推移みると
新規販売価格は2013年4月に3294万円であったのが10月には3382万円まで+88万円上がりました。建築コストの上昇分を織り込んでいった結果です。それが11月以降は伸び悩み3350万前後で推移しました。新規販売と契約の時期的ズレによる契約価格の低迷によるものです。
その契約価格は2013年4月に3278万円であったのが9月に3289万円と2013年度でのピークとなり、10月以降は下降トレンドとなっています。消費増税駆け込み需要の第一波が終了したのですが、新規販売はずれ込んでしまい、在庫量が増えて、値引きが多くなったためです。そして完成在庫が多くなった2014年2月には3199万円と2013年度での最安値となりました。それが3月にも続きました。
ただ前半が消費増税駆け込み需要で好調であったために、新規販売価格の年平均は前年度より上がり、契約価格も10月までの好調により前年度比+2.0%と上がりました。
このように見ると新築一戸建て分譲の2013年度は前半は消費増税駆け込みで好調でしたが、後半は施工能力不足や建築コスト上昇の影響で「需要と供給にズレが出た」市場となってしまいました。前半と後半と明暗が分かれたといってもいいです。