投稿日:2014年5月15日
いろいろなところより「住みたい街・駅ランキング」が発表されていますが、建築原価の上昇で「買いたい人の住宅ローン可能額」と「各駅の販売平均価格」に大きな差が出てきています。
新築一戸建て分譲においては「家賃並みの住宅ローンの月払い額」で購入するのが半分以上となっています。そして、買いたいエリア・駅は「現在住んでいるところ」が半分以上です。
人気の吉祥寺駅に住みたくても住宅ローンが組めないので買えない、仕方なく地元で買う」というのが2013年のトレンドでしたが、それが2014年4月で大きく変貌しています。
駅ごとの家賃相場をもとに住宅ローン可能額と4月の販売平均額の比較をして、買える駅をみてみました。首都圏は路線が多いので、埼玉を縦に走る路線をピックアップして集計したものです。
これは西武池袋線・東武東上線・高崎線・宇都宮線の四線の主要駅で、駅徒歩30分以内の新築一戸建てで未完成のものの販売平均価格と、駅周辺の賃貸2LDKの平均家賃を平均したものです。
すると、なんと対象となる100駅の中で「駅平均の家賃」で買える駅は7駅のみとなりました。逆に住宅ローンが販売平均価格の半分にも満たないという駅が5駅もありました。
つまりほとんどの駅が「家賃並みの住宅ローン」では買えなくなっているということです。
買える7駅はほとんどが北関東となっています。宇都宮駅や高崎駅などで、転勤者が多いために比較的に家賃が高いのだが販売平均価格は2500万円前後と安いためです。それ以外では東武東上線が3駅入りました。東横線直結で人気が出たのですが、もともとは西武線に人気で負けていたために比較的に土地相場が安いため販売価格が安いといえます。
ただ今後は土地価格の上昇が見込まれますので販売価格も上昇していくとみらています。とすると「今、東武東上線はお買い得」と言えます。
特に、「ふじみ野駅」は池袋まで電車で25分という近さで販売平均が2938万円と3000万円を切っています。ただ人気のふじみ野市ふじみ野などの販売はほとんど無くて、駅徒歩20分以上とか富士見市渡戸などの販売が多くなっています。特に西側は荒川があり地盤が弱いエリアもあるために注意が必要です。行政が出している災害ハザードマップで液状化危険性を確認する必要があるでしょう。
ただ東武東上線でも都内の駅は家賃倍率で50%以下に上板橋駅や下赤塚駅などがあり注意が必要です。これらは23区内で比較的に標高が高くて地盤が強いために人気が出ているエリアです。従来は湾岸エリアに人気を奪われていたのが、住宅地としての災害リスクの低さが評価されて土地価格が上がりました。そのために販売価格が上がったのです。
地元の人が買いずらくなったというのは、あまり良いことではないです。東武東上線は地味ですが庶民的な商店街などあり、落ち着いたいい住宅街であったので、販売価格が高騰して地元の人が買えなくなると、せっかくの街が変質していくことになります。
今回の新築一戸建てのコスト上昇による「需要供給ギャップ相場」は街を変質させてしまう可能性が高いです。