投稿日:2014年5月2日
新築一戸建ての首都圏の4月の新規販売価格は3721万円となり前月より+1万円と微増ですが、前年同月比では+66万円と上がっています。そのため4月に販売された物件の全平均価格は3703万円と前月より+38万円と上がりました。ただ3月の契約平均価格は3542万円と低迷していて3月の販売平均価格3665万円より123万円安くなっています。通常は100万円以内なのでやや値下げ幅が拡大していると言えます。
月毎の新規販売価格と販売平均価格と契約平均価格の推移をみると
新規販売価格の昨年来の推移をみると、平成25年1月は3555万円とやや安くなっていました。平成24年夏場の契約低迷の影響を受けて土地仕入れ価格が安かったために弱気の価格設定にしたためです。それが平成25年2月に3673万円と+118万円も上がりました。アベノミクスによる株式上昇による資産効果と金利先高感などが加わり購買意欲が高まり強気の価格設定に反転したためです。その後の価格は上昇傾向になり10月に3771万円とぴーくをつけました。ここが消費増税駆け込み需要の価格のピークとなりました。
しかし11月には反転下降しました。新規販売戸数が大きく増えたために販売中在庫が69万戸を超えたことで弱気の価格設定になってしまったためです。それが12月も続き3652万円まで▼119万円下げました。
ただ土地価格の上昇と部資材の上昇と労務費の上昇があるために下げられずジリジリと上げていき平成26年4月には3721万円となりました。
この新規販売価格はデベロッパーによる価格設定ですので原価の積み上げによるものと言えますが、契約価格はお客様の懐事情と購入心理の現れとも言えます。そのため消費増税駆け込みが起きていた平成25年11月までは3600万円超えと順調でした。それが駆け込み需要がピークアウトした12月に3440万円と▼220万円も急落しました。ある意味で心理的に切れてしまつたとも言えます。
その後6月までは3500万円前半で推移しました。これは平成25年1月から4月の相場感と同じとなっています。つまり7月からの消費増税駆け込み相場の3600万円超えが盛り上がったのですが、それが終わり元に戻ったと言えます。
ただ問題は7月から11月の消費増税駆け込み相場の時は新規販売価格と契約価格の価格差70万円が2月・3月は200万円弱と大きく広がってしまっていることです。これは5%の値下げに相当するのですが、通常はデベロッパーの経常利益は5%前後なために、この利益が全て吹っ飛んでしまっていることになります。するとこれからの新規販売物件は利益が見込めなくなるために、通常とは違う形にならざるをえないということです。例えば土地を小さくするとか、建物を小さくするとか、機能・性能を下げるとか、設備のグレードが下げるなどが行われることになります。見た目にはわかりずらいのですが耐震性能を建築基準法の最低仕様に下げているものが多くなっています。その辺は震度6強想定地域での購入の時はよくよく注意する必要があるでしょう。