投稿日:2014年3月14日
国土交通省が「民間ローン住宅の実態に関する調査結果報告書」の平成25年度版を発表しました。
■新規貸出額の平成24年度は前年度比+5.6%増加
個人向け住宅ローンの新規貸出しの平成24年度(平成24年4月から平成25年3月)は16兆3150億円で前年より+56%・+8618億円増えました。アベノミクスによる景気回復や超低金利だが金利先高感があり貸出が増加したものです。
■変動金利が58%で前年より+3.5%増えた。
金利タイプ別にみると
・変動金利型 58.0% (前年比+3.5%)
・固定金利期間選択型 26.8% (前年比▼1.0%)
・全期間固定金利型 4.2% (前年比+1.4%)
変動金利型が前年比で+3.5%増やしています。平成19年度は26.7%ですからですから+30%も増えたことになります。超低金利がしばらく続くとみて、より返済額が少なくて購入額が増やせる変動金利が多くなっています。
■審査項目は個人の支払い能力中心
融資を行う際に考慮する項目で回答率の高いものは
①完済時年齢 99.1%
②返済負担率 97.2%
③借入時年齢 97.5%
④勤続年数 96.5%
⑤担保評価 96.2%
⑥年収 96.2%
⑦健康状態 94.8%
この7つが住宅ローン審査の際に必須となる項目です。つまり「完済時年齢」からすると75歳までに返済完了とすると40歳まででないと35年ローンは借りられないということです。また「返済負担率」では年収の30%程度とされます。そして「担保評価」としては土地は路線価の70%で建物は都市計画税の評価額を参考に計算されます。
これはかなり買うものと買う人が制限されることになります。その理由は
■住宅ローンのリスクヘッジは44%がさされていない。
10年超の固定期間の住宅ローンのリスクヘッジは
・行っていない 44.0%
・新規貸出金利の調整を行う 22.2%
・金利スワップ取引によりリスクヘッジ 7.7%
・証券化支援事業によりリスクヘッジ 6.5%
つまり住宅ローン貸出に対するりすくへっじは半分近くが行われていないために、個人の支払い能力で審査するしかないのです。またリスクヘッジの中で一番多い「新規貸出金利の調整」は小手先の手段であり、根本的にストックをフローで調整するという根源的矛盾をかかえているものです。そして「金利スワップ」も同様です。「証券化事業」はまだましといえますが、わずか6.5%とかありません。根本的には物件を審査する能力がかけているためといえます。土地の価格に関する本日現在で使える理論の不足と建物の価格に関する理論の不足です。35年ローンにおいて、35年先をシュミレーションする能力の不足です。そのため個人の支払い能力でしか審査できないという「片手落ち」の住宅ローンになってしまっていて、それを改善することができないまま続いています。
「不動産金融商品」としては著しく理論不足で、商品とはいえないもと思います。