投稿日:2014年1月4日
野村総合研究所が「日常生活に関するアンケート調査(2012年12月調査)」を実施しました。アベノミクスによる景気向上は一部の高年収層に限られて、大半の家庭は実感しておらず消費支出を増やしていない実態が出ています。
■Q.1 「景気の見通し」
・良くなる 27.5%(前年5.7%)
・どちらとも言えない 40.0%(前年54.2%)
・悪くなる 32.5%(前年40.1%)
景気の見通しは良くなるが大幅に増えてきました。ただ「悪くなる」が前年より減りはしましたが32.5%と高い水準にとどまり、「良くなる」の回答よりは多くなっています。
■Q 「今後の家庭の収入の見通し」
・良くなる 12.9%(前年6.9%)
・どちらとも言えない 42.6%(前年50.7%)
・悪くなる 44.5%(前年42.4%)
家庭の収入の見込みは「良くなる」が12.9%と前年より増えましたが、「悪くなる」も増えて44.5%となり1997年度以降の調査で最低となりました。アベノミクスの特徴である株式上昇で高年収は景気がいいが、低年収層は恩恵を受けていないために、少数の高年収層が目立つた消費をしているが大多数の低年収世帯は収入が減っていることが表れています。
■アベノミクスで景気の上向きを実感したか
・実感した 13%
・どちらともいえない 24%
・実感していない 63%
この質問に対する回答でも、アベノミクスで景気上昇を感じているのは全体の13%前後となっています。そして実感していないのが63%と大半となっています。
■アベノミクスの影響などで具体的にとった行動は
・旅行に行った 7.4%
・日々の買い物のなかで「プチ贅沢」をした 6.2%
・行動は無い 76.3%
景気を上向きに感じる人は、旅行と「プチ贅沢」をしています。ただほとんどの人は消費行動は変わっていないと答えているので、ここでも10%前後の人が消費行動をとっていることが出ています。
■どうなれば消費の支出額が増えるか
①家庭の月収が増える 46.8%
②消費の支出は増やさない 27.7%
③日本全体の経済成長率が上がる
消費の増大のためには使えるお金が増えないと使えないという回答が46.8%と大半になったのは当たり前として、次の「増やさない」という回答が27.7%というのが、デフレ経済下で住宅ローンなどを組んで生活設計をしてきた人が多くて、ちょっとした「ミニバブル」で急に生活は変えられないという実際の生活者の意見が出ています。
■アベノミクスで景気循環(企業業績向上で給与上昇など)は好転すると思うか
・そう思う 16%
・どちらとも言えない 32%
・思わない 52%
アベノミクスで本格的景気向上すると思っていると人は16%とやはり一部に過ぎず、大半の人はそう思っていないという世論が出ています。
■消費税が上がる前に取る予定の行動は
①何も買わない 64.4%
②食料品・日用品の買いだめをする 15.6%
③高額な耐久消費材を購入する 9.0%
ほとんどの人が消費増税駆け込みをしないと回答していて、駆け込み行動の中では食料品がほとんどとなっています。
■消費税が上がった後に取る予定の行動
①とにかく安くて経済的な商品を選ぶ 45.1%
②特売・値引きなどの商品を買う 38.1%
③節約するものとお金を使うものを分ける 34.7%
消費増税後は「安い、値引き」が使用品購買の基準になりそうです。また「節約」がまたぞろ増えてきそうです。