投稿日:2013年12月31日
新築一戸建て分譲住宅の2013年(1月~12月)の市場動向は「大幅増収・大幅増益」となりました。
アトラクータズラボの戸建分譲データベースの集計によると(12月は推計数字)、新築一戸建て分譲住宅の2013年の契約戸数は14万1000戸(前年比+10.1%)で売上は4兆6122億円(前年比+21.3%)となりました。アベノミクスによる円安での輸出企業の業績回復とそれによる株式市場の回復で資産効果が出て契約意向が強まったのと、金利先高感と価格先高感にのよる契約意欲促進、そして消費増税の駆け込みの4つの追い風が、新築一戸建て分譲の市場を拡大させました。
新築一戸建て分譲の住宅着工戸数は13万5000戸で前年より+10.1%増えました。それに大型分譲の未販売区画が加わり新規販売は14万1000戸と前年+19%と大きく増えました。そこに4つの追い風が吹いて、契約は14万2000戸と前年より+18.7%増えました。新規販売戸数よりも契約戸数が多くて前年よりの繰越在庫を減らすことができました。
この契約戸数はデータがないために比較が難しいのですが「ミニ住宅バブル」を超えるものと推計されます。それほど売れた年でした。
そして契約率は24%で前年の19.6%から大きく上回り、好不調の基準の25%に近い数字となりました。ただ25%を超えてもおかしくなかったのですが下回ったのは、前半が30%を超えるなど好調でしたが、年末にかけて新規販売戸数が契約戸数を上回り、20%を割ってしまっているためです。11月・12月と消費増税駆け込み需要の反動で契約が低迷しているためです。
価格面では、円安による部資材の高騰に始まり、労務費の上昇があり、新規販売価格が前年より+35万円・+2.0%上がって3315万円となりました。そのため販売中平均価格も前年より+23万円・+1.5%上がり3317万となりました。そして契約価格も前年より+70万円・+2.0%上がりました。また契約好調であったために契約価格は販売価格から69万円下げるだけにとどまりました。前年が116万円下げていたので47万円も下落額ガ縮まりました。契約好調で完成在庫処分の戸数が減ったためです。
そして契約個数と契約価格が上がったために新築一戸建て分譲住宅全体としての売上は4兆6122億円と前年より+8095億円・+21.3%も増え、大幅な増収となりました。
また前半契約した物件は前年に取得した土地が多くて原価が安いものが多くて、粗利率が高くなったために通年の粗利は高くなり8300億円と前年より+1683億円・+25.4%増えました。前半契約した物件は土地代以外も部資材費や労務費も上昇前のものが多いために原価が安かったので粗利は高くなりました。
そして売上が大きく増えて粗利額も増えたので固定経費率は相対的に安くなり利益は4610億円で前年より+1101億円・+31.4%と大きく増えました。固定経費が同じで売上が増えれば損益分岐点を大きく上回り利益は増えます。そのため売上伸び率など以上に利益は大きく増えました。
このように2013年の新築一戸建て分譲住宅業界は「大幅増収・大幅増益」の年でした。
ただ足元では職人不足による工期の遅れが目立っていて、年末でも引渡し予定がずれこんでいる物件が目立ちます。その分の4%前後が売上・収益ともマイナスとなっています。