投稿日:2013年12月25日
帝国データバンクが上場している建設会社59社の2013年度第2四半期(4月から9月)の業績動向をまとめたところ、受注高が合計で5兆8302億円となり前年同期比で+43.8%の大幅増加となりました。官公庁よりの発注が13.3兆円で前年同期比+32.5%、民間よりの発注が40.1兆円で前年同期比+50.1%ですので、民間主導の増加となりました。
上場している建設会社59社のうちで受注高が判明している45社の中で、官公庁と民間の内訳がわかっている37社の数字をもとに全体受注高を推計すると
・受注高 5兆8302億6000万円(前年同期比+43.8%)
・内 官公庁よりの受注高 1兆3000億円(前年同期比+32.5%)
・内 民間よりの受注高 4兆円(前年同期比+50.1%)
受注高にしめる官公庁:民間の割合が前年同期の27:73から25:75になり官公庁の割合が減りました。民間よりの発注が多かったために官公庁の採算のとれない入札をしなかった結果といえます。割合の変化から逆算すると入札しなかった工事は4000億円にのぼると計算されます。建設労働者不足と建設コストの上昇による入札金額では採算が取れないためです。
受注高の多い上位5社の受注の内訳をみても民間が多くなっています。
受注高の上位5社で、清水建設などは受注高の81%を民間で占めています。また4位大成建設や5位の戸田建設など公共工事は前年割れとなっています。この前年比の伸びはある意味では異常とも言えます。
また、その利益をみると第2四半期の売上総利益率は7.5%でかなり低いと言えます。そのために経常損益は59社中で7社が赤字となっています。ただ、前年同期の売上総利益率7.1%は上回っているために、前年同期の赤字24社よりは減っています。第2四半期の売上の受注は2年前以前のものが多いために、リーマンショック後の景気の悪い時で採算が取れなくても仕事量確保のために受注した工事が多いとみられます。その完工粗利率は4%台の会社が多くて目安の8%の半分となっています。
そして、今回の受注高の伸びの大きさはこれらの採算性確保による金額の増大も含まれていると考えられます。今回の決算短信から受注工事の粗利益率見込みはわかりませんが、8%は上回っていると考えられます。
また、今回の受注金額が増えた上位をみると東京以外も入っていて、地方での建設工事が増えているのがみてとれます。
全国で一番増加したのが岡山県の大本組で民間工事を前年比増加率で199%と約3倍に増やしている結果、官公庁工事は▼8.1%減らしています。
2番目から5番目までは東京ですがいずれも民間工事受注を前年より倍増しています。
そして6番目に愛知の名工建設で、7番目に大阪の大末建設、8番目に群馬の佐田建設、9番目に大阪の森組となり、いずれも民間工事受注の伸びが大きいです。ただ群馬以外は名阪となっていてやはり大都市圏中心といえます。
いずれにせよ、建設業界は大きな変化となりました。一部に消費増税前の駆け込み需要もありますが、大半は消費増税後の引き渡しとなる工事であるために、民間工事がこれだけ発生しているというのは投資が活発である証拠です。今後は公共工事の入札単価を行政側がどれだけ上げて予算化できるかで、民間主導で活況となったものを、さらに継続できるかにかかってきます。