投稿日:2013年10月17日
■新築一戸建ての寿命
新築一戸建ての寿命は「住宅寿命30年説」というものによる通説として語られています。
この説のもとは国土交通省の「建築動態統計調査」というものの中の「建築物除却統計」という統計データの数字がもとになっています。
これは建物が壊されたものが何年経っていたかを集計したものです。
データで言うと、平成22年度に除却された木造住宅が7万5646戸ありました。その建築後何年経ったかというものなのです。
ただ除却された木造住宅の分母は何戸かというと1217万9000戸ですので除却率はわずか0.6%です。
つまり現在建っている木造住宅の0.6%のものの建築経過年数が30年ということです。
また、住宅着工統計が開始された1951年以降の一戸建ての木造の着工戸数は1417万戸になります。それで現在残っているのが1217万9000戸ですから85.9%の建物が残っているということになります。(2007年時点のデータ)
それを年代別にみると
・1951年から1960年の建物は残存率が48.4%
・1961年から1970年 54.3%
・1971年から1980年 66.4%
・1981年から1990年 85.2%
・1991年から2000年 91.0%
・2000年から2007年 99.0%(一部推計を含む)
建築物の寿命というのは「残存率が50%を切った」状態を指すようなので、この数字で言うと1960年前後が50%と推計されるので木造の一戸建ての寿命は47年ということになります。
つまり
「2007年時点のデータでは、木造一戸建ての寿命は47年」
ということになります。
ただしここで気をつけなければいけないのは、
「寿命」と「耐用年数」と「使用可能年数」は違うということです。
住宅の寿命は先ほどのように「残存率が50%を切る年数」で、
耐用年数とは「税制における減価償却年数」で、
使用可能年数とは「その建物が居住の用をなす」ものです。
さらに1980年の建築基準改正と2000年の改正で現在の建物は耐震性・耐久性で「200年住宅」と呼んでもおかしくないほど良くなっていますので、1960年以前の建物の残存率が48.4%ということは、使用可能年数としては60年以上は確実にあるということになります。
ですので、「新築一戸建ての寿命は何年?」ということであれば
「2013年に建築された新築一戸建ての使用可能年数は60年以上はある」
ということになります。
ですので、メンテナンスをしっかり行えば住宅ローン35年が終わっても建物はまだまだ住めるということです。