投稿日:2013年3月31日
東京都土木技術研究所が「平成24年度版 東京の液状化予測」を発表しました。
いままでのいろいろな発表と同じ傾向ですが、町丁単位でわかることが大きく違います。そしてこの結果に至る調査・研究がかなり深く・真剣であるため、有無をいわせない内容になっているために、液状化の危険があるとされた地域にとっては深刻です。
東京都土木技術研究所の発表した「平成24年 東京の液状化予測図」をみてみると
マップでピンクになっているところが「液状化の可能性が高い」とされた地域で、足立区から葛飾区・江戸川区そして江東区から大田区に多くなっています。
このエリアで一番困るのは、千葉県東方沖地震などで東日本大震災の時の長期波動を超えるものが来た時に、液状化とともに地盤が確実に数メートル単位で動いてしまうことです。
それにより、官民境界でズレが生じることが起きることです。これは、一般住宅で地盤改良なり支持層まで杭を打って「不同沈下」対策を行っていれば耐えうる可能性がありますが、公共道路が液状化や地盤がズレると、上下水道やガス菅などがズレてしまい、破損もしくは流れづらくなることが出るのです。
特に、下水における「大」が1%以下の傾斜のズレでも流れにくくなってしまいます。通常の住宅では0.5%前後の傾斜をもって流しているのですが、それが官民境界のところで傾斜がゆるくなったり、逆転しまうとそこで全てとまってしまいます。水はなんとか勢いで流せるとしても固形物は難しものがあります。
同じことが浦安市でも我孫子市でも東日本大震災の時に起きていて、その補修の範囲がまだ限られていたために応急処置から本工事を行われてなんとかしていますが、「東京の液状化予測図」にあるピンクの「液状化の危険性が高い」エリアで全て起きたとすると、その応急処置でも大変で、本工事となると道路の掘り返しになるために数年に及ぶものと思えます。
これへの対策として有効な手段はほとんどありません。水道管の破損対策としてはフレキシブル菅など使えば対策となりますが、官民境界のズレとなると道路の地下全てを囲って支持層と直結させることになり、費用的にもその工事面積など莫大なものとなり難しといえるでしょう。水道管の耐震対策でさえまだ半分にもいかない状態ですし、ましたや道路全体となるといろいろな権利・許可関係があり単純には進みません。
つまり「液状化の危険性の高い」エリアは予想されている大地震がくると、タダではすまないという覚悟が必要だと思います。
まずは自宅の「液状化対策」が必要です。究極としては支持層までの杭打ちが良いですが費用が一戸当たりで数百万円かかります。その他の地盤改良のいろいろな技術が開発されていて中には「なるほど」と思うものもありますが、本当に不同沈下しないのかどうかの検証は自信がおきてみないとわからないところがあります。ただ、数百万円もかけられない場合は、理論的に正しいもので行うしかないでしょう。
そして官民境界問題については覚悟を決めて自信が来ないことを祈るしかないでしょう。もし来たら、上水道は給水などでまかない、下水道は浄化槽タイプの防災用トイレがある公園などで行うしかないでしょう。
その意味で、防災用トイレなどを備えている大型分譲を選択できるとしたら、ぜひ選ぶべきです。首都圏で、そのような分譲地はまだ数えるしかないのが残念です。それも、横須賀市の238区画の大型分譲地のように、首都圏においては郊外にしかありません。
今後、新築一戸建て分譲において公園設置をする時はかならず防災備蓄特にトイレの備えをすべきでしょう。また、選ぶ側がそれを要求すべきだと思います。