投稿日:2013年3月26日
新築一戸建て分譲住宅の価格は、「販売価格」と「契約価格」に分かれます。
■「販売価格」は、新築一戸建て分譲を供給する企業が決める価格です。
それは単純に言うと
(「土地の取得価格」+ 「建物の建築原価」+「広告などの費用」) × 粗利率
となっています。
首都圏の2012年の新築一戸建ての販売平均価格3673万円でいうと
(土地 1500万+建物 1100万+経費 300万)÷(1-粗利率19.6%) =3673万円
となり、原価は2900万円で、企業の単純利益が700万円くらいとなっています。
その原価の中で土地の占める割合は52%くらいです。
2012年の場合は土地価格1500万とすると平均28坪として坪単価は54万円となります。
直近で販売価格が市場安かった2004年の3146万円で計算すると、土地価格は1200万円で坪単価は43万円になります。
このように新築一戸建て分譲住宅の価格おいては土地価格が大きく影響します。
その首都圏の直近の販売平均価格をみてみると
1999年の新築一戸建て分譲の販売平均価格は3702万円でした。
それから毎年下降していって2004年に3146万円と最安値をつけました。これは土地価格がバブル崩壊以降下げ続けている結果です。
ただそこから反転上昇しました。
これは「住宅ミニバブル」に入り、新築一戸建て分譲の着工戸数が14万戸近くと2000年代では最多の着工がなされていて、そのために土地取得の企業間競争が激しくなり、新築一戸建て分譲の販売が多い、都心から60分以内で駅徒歩15分以内くらいの土地が上がったためです。
そして2007年に直近のピークである3711万円をつけたあとに、リマンショックが来て2009年には▼200万も下がり3494万まで落ちました。これは銀行の信用収縮により、土地を買うことに対して与信が厳しくなったために多くの企業が土地を買えずに着工も9万戸台に大きく落ちました。そのため土地購入の競合が減り、少し安く土地が変えたために新築一戸建て分譲住宅の販売平均価格は下がりました。
その後、着工の増加とともに土地の値段も上がり販売平均価格は毎年少しづつ上がっています。
■契約価格はお客様が決めるものです。
但し、「契約価格」はお客様が決める価格です。
お客様が新築一戸建て分譲住宅を買うときの価格はおおむね
・月々の借家の家賃 = 住宅ローンの月払い額
で考えます。
首都圏の平均家賃8万円で首都圏の新築一戸建て分譲の2012年契約平均3566万円で割ると、家賃の445倍となります。たいたいこれは450倍前後になっています。
ただこれは家賃による価格であって、先ほどの土地の価格による販売価格とは違う形成要因となっています。そのために販売価格と契約価格はかい離をすることがあります。
直近の首都圏の販売価格と契約価格の推移を月別にみてみると
販売価格と契約価格の差は概ね100万円前後となっています。これは低価格の物件の回転率が良いためですが、単純なことをいうと販売当初価格からの値引きが100万円ととらえてもいいかもしれません。
ただし、優良物件は値引き無しで即日完売になりますので、その物件が多い月は販売価格と契約価格のかい離が小さくなります。
東日本大震災後の平成23年5月が販売平均価格よりも契約平均価格が高くなりました。これは、「湾岸から内陸」と「職学住近接」で東京の中央線沿線の物件が良く売れたためです。それ以前は千葉県柏市などが人気でしたので平均価格が3000万円以下が主流であったのが、それが全く売れなくて、4000万円超えの東京都下物件が売れたために価格逆転がおきました。
同じことが平成24年10月にも起きて、販売価格と契約価格が同じとなりました。横浜などの優良物件の新規販売が多く、それが売れたためです。
逆に、販売価格と契約価格が100万以上離れてしまうのは、震災後の平成23年6月のように完成在庫が増えてしまいその値引き処分が多くなる時期です。
■需要と供給のバランスも価格に影響する
このように新築一戸建て分譲の販売価格と契約価格は別々に動いているので、その時々の状態を見極めて検討する必要があります。
現在のように土地が少しづつ上がっている時でも、供給が多すぎて完成在庫が増えると値引きにより価格は下がります。
逆に、供給が少ないと優良物件は販売価格のままで即日完売してしまいます。問題は「需要と供給」を見極めることです。
住宅着工戸数と新規販売戸数は概ね連動します。
ただ、住宅着工がとは建築確認申請を出した件数を指しますので、企業としては土地取得をするとほとんど出します。ただ新規販売をするかといえばそれは別の事情で在庫が多い時期は、在庫販売を優先して建築着工せず新規販売もしない場合があります。
昨年の8月までがその状態で着工戸数よりも新規販売戸数が少ない状態でした。ただ9月に新規販売をたくさん出して、それ以降は新規販売が着工を上回っています。
つまり2012年で言うと供給が多い9月以降が買い時であったいえます。特に9月以降は契約価格も下がり12月には3491万と2月に次いで安い月でした。
このように価格とは「土地の価格」と「需要と供給」により変動するので、単純に消費増税前ということで買ってしまうとあ後々後悔することになります。
この新築一戸建てマイスターには、価格と販売戸数が表示されているので、しっかりとそれを見続ける人が「賢い買い物」をすることになります。