投稿日:2016年7月26日
ようやくアベノミクスに対する経済学的論争で始まってくれました。
アベノミクスは「クロダノミクス」であり、その理論的支柱である渡辺勉東大教授の理論でもあります。
そのインフレターゲット論に対して、簡単に言えば「企業が価格支配力を持ち、適度なインフレであると、イノベーションは阻害される」ということです。
これは現在の世界経済状況からすると正しいと思えるのですが、テロによる社会コストの増大と体制変化(英国のEU離脱など)や米中超大国の関係性の変化(世界の工場の終焉など)により、正しくなくなると考えます。
つまり日本のなすべきことである「人口少子化社会で経済活力・国力を維持する」ということを達成するためには、世界政治経済要因が大きく関わっているということです。
そして、それに対する影響力を日本は持ち得ていないことが問題です。
となると今後のアベノミクスに対する論争は経済学的論争ではなく、世界政治経済学的論争になるという自己矛盾になっています。更に、その結論・対策を導きだすためには情報収集力と解析力が不足していると言えます。
しかしアメリカのNSAのような国家的情報収集機関が必要かと言えば、そうは思いません。
情報の収集はできるとしても、その文化的理解が難しいからです。世界は経済理論だけで動いているわけではなくて、宗教的や地政学的心理で動いています。ISのテロにしても、中国の海洋裁判にしても、日本人としては今後どうなるか理解不能です。
つまり日本の経済政策運営を考えるにあたり、経済学的論争では解決せず、世界政治経済学的論争はできないとなれば、与党政治家のトップの独自の世界観による判断で決めるしかないということになります。その意味からするとアベノミクスは論争すべきではないということになってしまいます。
やはり「人口少子化社会で経済活力・国力を維持する」ということの答えは「人口少子化を脱する」ことしかなくて、文化論的な論争になってしまうということです。