投稿日:2016年2月24日
今週の日経ビジネスでパワービルダーの経営者が「今後5年は5%以上の成長ができる」と言っています。
新築一戸建て分譲の半分は「地元の希望立地で家賃並みの住宅ローンで買いたい」というものです。それが土地価格高騰と建設費上昇により買えなくなっていて、「超郊外立地を買うしかないのなら、賃貸のままでいいや」というふうになっています。この傾向は阿部政権の異次元金融緩和が続く限り継続されるので、東京オリンピックまでのあと4年は続くでしょう。
そして、高額帯物件購入者は株式市場の低迷で需要減退しています。
そんな中でも新築一戸建て分譲を購入しているのは、「地方から出てきて、大企業・公務員に就職して32歳になり、子供が0歳と5歳でそろそろ賃貸脱出。超郊外でもいいから子育てしやすいところで、家賃並み住宅ローンで買いたい人」です。
ということは今年度の新築一戸建て分譲の住宅着工戸数12万戸がリーマンショックの2009年度9万戸を目指す展開となり▼25%減ることになります。
それでもシェアを上げれば「5%成長」はできるというのは、全体が▼25%なので自社は30%以上の成長ができるということです。シェアで50%です。
まずこの数字は不可能です。
新築一戸建て分譲というのは「用地ありき」です。またその用地は超郊外の開発地が売れていなために、駅前の中古住宅解体跡地が増えていて、小型化が進んでいます。そこに防災的観点から狭小開発が制限されてきています。となると従来は50坪の土地に3区画作っていたのが、2区画に減り現場経費率が上昇します。また、全国標準の設計モデルが使えずに、狭小土地に合わせた個別設計になり労働生産性が下がります。
これは「規模のメリット経営」をしてきたパワービルダーには、自社のメリットが生かせないことになり、他社よりも高く土地を買うということかできなくなります。
こういった今日現在の市場動向を理解していない経営者ということです。
このような刹那的な経営しかしない、長期安定継続経営という社会の公器としての経営をしない経営者がいるのは残念です。
また住宅をただのハードとしてとらえているのも残念です。
これからの住宅は「少子化の対策として、子育てを集団で支援するコミュニティ」でなければなりません。新築一戸建て分譲はその意味で社会性があります。それを全く理解していないのが残念です。