投稿日:2016年1月29日
日本の経済運営において日銀の果たす役割は大きいものがあります。
特に「黒田バズーカ」は市場にインパクトを与え、「黒田プレミアム」を生みだして日本経済を良い方向へ導いています。
しかし、本日の「マイナス金利」は、なりふり構わずにできることをやるという軽薄なものに見えます。
これは実体経済へ影響は限定的ですが、効果は大きいものが期待されています。ETFの買い増しという市場が想像していた「第三弾バズーカ」より実体経済への影響が少なくて「口先介入」のような効果が期待されているので、ある意味では苦肉の策ともいえなくはありません。
ただ疑問なのは、このような重要な経済政策を、選挙で選ばれた訳でもない「役人上がりの一個人」が決めてしまっていいのだろうかということです。
政治家の場合は、利益誘導とか不公正なことをすると、その資格をはく奪されます。また、たとえ一個人としては公明正大にふるまっていても、偏った思想・論理で行った政治行動に対して「結果責任」が問われます。だから安心して日本の運命をゆだねることができるのです。
それが日銀の政策委員にはありません。政策決定において個人的な思想が入っても「結果責任」は問われません。そういう人達が、世界が注目する経済政策実験である「異次元金融緩和」を断行することに違和感を覚えます。ましてや「マイナス金利」という効果が定かでないものを、アメリカが金利上げに転換したこの時期にやるのが不思議でありません。
今こそ、アメリカの国家情報会議の「グローバルトレンド」のような長期視点とグローバル視点からの国家戦略を提案するものが必要だと感じます。あらゆる事象について、正確に把握して、それに対してのいろいろな考え方があり、どういう行動がなされるかを知った上で、政治経済を行う必要があると思います。
世界経済は論理的な経済行動だけでなく、民族主義による国家主義政治経済の国が石油を武器に世界を振り回すとか、共産主義でありながら資本主義自由経済をするという矛盾した政治経済運営する中国だとか、飢餓に瀕している国民が大半の国だとか、実に様々なプレイヤーがWEBを通じてグローバルに動いています。
寿司屋の社長が支援によってアフリカの海賊を漁業に転換させたのが話題になってますが、このような経済行動がこれからの日本にもとめられているものだと思います。
日本のもっている、技術・思想・お金を使って、アフリカの大地にプラスの付加価値を生み出すことができれば、グローバル社会の中での日本の存在価値は確立されます。
日銀は国内金融ばかりに気をとられていないで、世界に目を向けて、その中での日本の経済成長を考えないといけない時期にきていると思います。