投稿日:2015年11月9日
11月4日に厚生労働省が発表した、「就業形態の多様化に関する総合実態調査」によるとパートや派遣など「非正社員」が占める割合が初めて全体の40%を超えた。1990年には20%だったので25年間で大きく労働市場が変化したといえます。
ただ企業側としては「正社員を確保できない」という回答が26.1%と高くなっていて、企業が正社員を確保する意欲は高い。他方で約30%の非正規社員が、正社員に変わりたいとの希望を持っている。このミスマッチが現在の労働市場の大きなミスマッチとなっています。
1990年以前は新入社員を採用して、社会人としての能力を付けるために数年かけて育てていたのが、現在はそこまでするのは、大企業のキャリア組やIT企業の専門職などの限られたものになっています。
多くは、工場のラインや飲食店のホール係とかスーパーのレジなど簡単な訓練で仕事ができて、一定の能力のみで良くて、その分だけ賃金も抑制されているものが多いです。
正社員にしても、介護職のように、体力はキツイが賃金は抑制されているようなものがあり、それらは敬遠されています。建設現場の職人も同じです。
これらは結果的に2015年現在の日本の総人件費の抑制につながっていて、若年層のライフタイムコストとの大きなギャップを生み出しています。そのために、子供を産んで育てるコストを出せなくなっていることが少子化の要因の一つです。
また「貧困老人」の潜在的増加を生み出しています。
今の20歳代の非正規社員の生涯年収はわずか6000万円程度で、正規社員の2億5000万円と比べると、2億円も少ないのです。
そのため65歳時点で最低必要といわれている貯金1500万円など不可能です。さらに国民年金の未納も多くて、老後は生活保護を受けるしかないでしょう。となると、今の20歳代後半の700万人の約半分の300万人が生活保護予備軍といえます。その時点で現在のような手厚い生活保護が続いていればいいですが、税金を納める人間が少なくて、社会保障費ばかり増えていたら、その内容の劣化は目に見えているといえます。まさしく「貧困老人」が巷にあふれるようになります。
そういった、自分のライタイムプランをしっかり考えれば、現在の労働ギャップは、自ら埋める努力をしないといけないと考えます。
「社会や会社が悪いから」「上司が親切でなく嫌い」「教えてくれない」「できない」など言っている場合ではないと思います。
「開かれた窓」は必ずあって、自ら開けるものです。