投稿日:2015年11月4日
横浜市のマンションの杭打ち偽装がようやく本筋に近づいてきました。
ある個人の問題ではなくて、くい打ち施工品質とその施工管理の問題です。
そして旭化成建材の問題ではなくて、マンション業界全体の問題です。
杭打ち職人にすれば、丁寧で確実な仕事をしたいと思うのは当たり前です。
それでも職人といってもバラツキがあり、丁寧な仕事をする人も雑な仕事をする人もいます。むしろ、手際の良さを求められているので、経験と勘にたよった施工の方が多いといえます。丁寧な施工で工期が延びる職人には、現場のペースを乱すのであまり好まれません。
それらいろいろな職人が、何らかのミスによって、部材不足や記録不備や工期遅延になった時に、その報告に対して返答は「なんとかしろ、工期とコストを守って報告書を出せ」という神の声のみです。
根底には職人不足があるといえます。
2005年にはマンションの住宅着工は23万戸ありました、それが2009年には6万戸まで減りました。また仕事量だけでなく、職人単価も下がりました。1997年の公共労務単価の平均は1万9121円であったのが、2011年には1万3072円までなんと▼46%も下げたのです。これで多くの職人が引退や転職をせざるをえなくなり、新たに職人になりたいという人も激減したのです。
高度成長に培った日本の建設施工技術は、バブル崩壊そしてリーマンショックによって大きく失われてしまったのです。
今回の偽装問題は建設業界の職人不足と冷遇に問題があるといえます。
その根本原因にキチンと向き合わずに、いたずらに検査強化・規制強化ばかりしたら、建設業界の根本といえる職人はさらに減ることになり、技術の継承もされなくなるでしょう。建設現場は外国人のみになります。
やるべきことは、職人の待遇改善と長期雇用安定と「夢と希望」がもてる職場にすることです。
国土交通省や三井不動産の人達が自分の子供を喜んで現場職人するような風潮にならないといけないと思います。