投稿日:2015年1月7日
新築一戸建て分譲の販売価格は一定の法則があるかといえばそうではなくて、供給企業の販売意向に影響されるといっていいです。その結果として路線や駅徒歩圏や土地㎡や建物㎡などにより価格が形成されています。
それは供給企業に不動産屋から用地情報が持ち込まれて、それが「売れる」と判断したら販売が行われるのです。そしてその土地情報は地主が死亡して相続税納入のために駐車場などを販売に出したり、中小企業の倒産・廃業や移転により工場や事務所が売りに出たりします。急ぎで換金する必要がある時は最低限必要な金額で売るために相場感よりも安くなったりします。そのため販売が多い地域と少ない地域、そして販売価格が高い地域と安い地域があります。
現在の新築一戸建て分譲の販売状況をみると
・埼玉県川越市 販売中515戸・販売平均価格2811万円
川越市の2011年度の新築一戸建ての住宅着工戸数は985戸で2012年度は1027戸なので川越市の新築一戸建て分譲の規模感は年間1000戸くらいといえます。そこに現在の販売戸数が515戸なので約半年分の戸数が販売されていることになります。理想的な戸数は4ケ月なのでも、理想在庫よりは1.5倍あるといえます。供給企業としては回転率が落ちることになりますが、購入者にすると選択肢が増えることになります。
1980万円以下 販売中43戸、土地116㎡・建物89㎡、駅徒歩平均22分
2480万円以内 販売中46戸、土地116㎡・建物91㎡、駅徒歩平均18分
2980万円以内 販売中127戸、土地126㎡、建物99㎡、駅徒歩平均14分
3480万円以内 販売中98戸、土地127㎡、建物99㎡、駅徒歩平均14分
3980万円以内 販売中13戸、土地116㎡、建物99㎡、駅徒歩平均14分
4000万円以上 販売中18戸、土地115㎡、建物100㎡、駅徒歩平均9分
安い物件は1980万円以下が43戸ありますが、駅徒歩20分以上が多くて建物が89㎡と小さくなっています。ファミリー層にとっては小さいといえます。もともとは農地であったものが出るために大規模となるものが多いです。
最多物件の2980万円以下で販売が一番多いのが西武新宿線の南大塚駅徒歩9分なので新宿駅まで乗車時間で最短44分でいけます。土地が平均126㎡あり日当たりが良いのと駐車場が2台となり、建物が99㎡の4LDKとファミリー層向けの新築一戸建て分譲としては平均的なものとなっています。郊外新築一戸建て分譲としてはひとつの標準的な姿といえます。川越市は全域でほとんど傾斜がなくて元農地であっても地盤改良に費用は少なくて済むために新築一戸建て分譲としてはやりやすい市であるために新築一戸建て分譲企業は開発意欲が高いエリアといえます。
それで3500万円以上の物件となると土地・建物は2980万円と変わりありませんが、立地が川越の中心である川越駅徒歩圏になります。川越駅の周辺は歴史文化の漂う独特の町であるといえます。ここに住みたい人は川越全体の相場観よりも+500万円を出すということになります。川越は江戸初期から開発されてきたために中心部は空いている土地は少なくて、川越駅徒歩圏の土地は出にくいので売主の希望価格が優先されるために新築一戸建て分譲としては開発がしずらぃので販売戸数は少ないといえます。
つまり川越市の新築一戸建て分譲としては2980万円・土地126㎡・建物99㎡・駅徒歩14分というのが平均的な姿で、販売戸数も多いので選択肢は多いです。安いものが良ければ駅徒歩20分以上になるのと建物が小さくなり、より立地の良いものを求めると+500万円ということになります。
さらにさいたま市でみてみると
・さいたま市 販売中1838戸、販売平均3483万円
1980万円以下 販売中42戸、土地118㎡・建物96㎡・駅徒歩21分、一番多い駅は東武野田線岩槻駅徒歩25分
2480万円以内 販売中185戸、土地123㎡・建物99㎡・駅徒歩18分、一番多い駅は東武野田線岩槻駅徒歩21分
2980万円以内 販売中452戸、土地113㎡・建物100㎡・駅徒歩16分、一番多い駅は大宮駅徒歩32分
3480万円以内 販売中373戸、土地107㎡・建物102㎡・駅徒歩15分、一番多い駅は武蔵野線東浦和駅22分
3980万円以内 販売中155戸、土地100㎡・建物102㎡・駅徒歩14分、一番多い駅は武蔵野線東浦和駅徒歩20分
4980万円以内 販売中253戸、土地97㎡・建物105㎡・駅徒歩11分、一番多い駅は大宮駅徒歩15分
5000万円以上 販売中84戸、土地101㎡・建物109㎡・駅徒歩11分、一番多い駅は京浜東北線浦和駅12分
販売中で一番多いのが2980万円以内で大宮駅から徒歩30分以上です。バス便ともいえて最寄路線・駅が遠い物件といえます。東武野田線の南側とか川越線の南側などが多いです。これは交通利便性を犠牲にしてもさいたま市で新築一戸建て分譲を買いたい人向けといえます。さいたま市は公立教育が熱心で公立高校で東大合格ナンバーワンの浦和高校に代表されるように教育レベルが高いと人気です。また自然や公園が豊かでスポーツはサッカーが全国トップレベルであるなど子育てに良いと人気です。そのため交通利便性を我慢しても買いたい人がいるのです。これのもともとは農地であったり雑地が多いです。湿地や林であっようなところが開発されて住宅地として出てくるものが多いです。そのためあるエリアに集中して出る場合が多いです。
そしてそれよりも安い物件となると東武野田線の物件になります。東武野田線沿線は各駅停車しかない複線で時間がかかるのと、各駅はバス便が不便なので駅徒歩20分以上だと通勤は少し時間がかかることになります。それで2480万円以下の場合は交通利便性が犠牲になるといえます。ただ土地は120㎡あり日当たりは良くて建物が96から99㎡とやや小さいですが十分に使えるものです。
3000万円台になると一番多いのが武蔵野線の東浦和駅となります。東京都心へ行くには乗り換えが必要になるので京浜東北線の駅よりは時間と手間がかかります。ただ駅徒歩15分以内と徒歩圏で土地は100㎡以上あり日当たりは良くて建物も100㎡以上あり使いやすい間取りのものが多いといえます。この周辺は高度成長時代に住宅地として開発された地域です。江戸時代は徳川直轄農地であったりして通船堀りなどが有名ですが農地・湿地であったところが開発されたものです。
そして4000万円以上は京浜東北線の駅徒歩15分以内となります。京浜東北線は東京駅に一本で行けて本数も多いので便利で人気の路線です。それで建物が105㎡以上と大きいものが多いです。ただ3階建ても多いので日当たりはやや劣るといえます。教育・商業は良いので、それが優先の人には良い立地といえます。この周辺は江戸時代の中山道で発展したので、空き地は少なくて、相続による土地放出が多いので規模も小さくて狭いものが多いです。
このようにさいたま市では路線と徒歩時間により価格差がついているといえます。路線は京浜東北線・武蔵野線・川越線・埼京線・東武野田線さらには伊奈シャトルなど選択肢は豊富です。そのためさいたま市全域で新築一戸建て分譲が行われているので販売戸数が1838戸と多くなっています。日本全体でみても横浜市に次いで多いほどのトップクラスの販売戸数の多さで選択肢は豊富といえます。