投稿日:2014年10月15日
新築一戸建ての新規販売価格は建築費と土地価格の上昇により上がっています。しかし契約価格は下がっています。給料が上がったとはいえ新築一戸建てを購入する30歳台前半では1.5%上がっても実質収入20万円とすると3000円にすぎません。ところが支出の方は、電気代にガス代の上昇が先行して、食料品が上がりほぼ全ての支出が上がってしまい、「実質賃金指数」は大きくマイナスとなっているために選択的支出は下げてます。その一つに「家賃」があり住宅ローンがあります。
そのために新築一戸建ての新規販売価格と契約価格のかい離がおきています。特に低年収層の多いエリアは顕著です。その一つである京急羽田線沿線をみてみると
今年の3月までは新築一戸建ての新規販売価格と契約価格はほぼ同じ動きをしていました。ところが消費増税後の4月からは新規販売価格は上昇傾向にあるのですが、契約価格は下降傾向となってしまいました。まるで連動性がなくなってしまいました。
これは供給価格の形成は物価が影響しますが、需要価格の形成には実質賃金指数が影響するという、違う次元の指数が価格形成要因となっているためです。物価は一次元の数字ですが、実質賃金指数は物価と賃金の複合指数という二次元の数字であるためです。
また背景として需要量と供給量のバランスの問題もあります。新築一戸建ての需要量が多ければいろいろな価格帯の需要が発生して供給の価格を吸収することができます。ところが需要量が少ないと低価格帯の商品が売れて高価格帯の商品が売れ残りやすくなるために価格としても低価格帯に引っ張られてしまい、高価格帯が値引きせざるをえなくなくります。
この問題は需要側にあるのではなくて供給側にあります。そして最終的には需要にも大きな影響を与えます。それは相場観で土地を買って普通の建物を建てては赤字になってしまうということで、このエリアでの新築一戸建て分譲の供給がなくなるということです。するとそのエリアに住んでいる人は新築一戸建て分譲を買う機会がなくなるということです。ただ住宅ストックは量的に豊富にあるために、需要側としては住宅の選択肢が新築一戸建てから中古マンションもしくは中古一戸建てに代わるだけのことです。
つまり供給側の大問題で新築一戸建て分譲という存在感が無くなるという危機であるといえます。