投稿日:2014年8月27日
分譲住宅の新規販売が減っています。さらに、需要と供給のミスマッチが起きています。
分譲住宅の需要というのは平均像として「32歳で年収600万円で家族3人」というものです。これは毎年必ず新たに32歳になる人はいて、人口減少とはいえ今年でも148万人います。その既婚率が60%くらいなので約90万人が結婚しているので45万世帯ということになります。この内で持家購入意向があるのは約70%なので32万世帯が住宅購入の母数となります。
ところが現在新規販売されている分譲住宅をみると、マンションは都心案件が多くて郊外はほとんどありません。埼玉県のマンションの住宅着工は4月から6月の3ケ月でわずか629戸しかありません。月平均200戸という少なさです。これでは今年の新規着工は2400戸しかないということになります。昨年度が6511戸ですから1/3に減るということです。必ずしも住宅着工戸数=新規販売ではないですが、かなり近い数字といえて、埼玉県の新規販売は昨年度に比べて1/3までに減るということです。
埼玉県の32歳人口は約10万人なので、住宅購入母数としては10万×0.6×1/2×0.7=2万戸となります。この住宅需要はマンションと新築一戸建て分譲と注文住宅の3業態からなるので単純に3分割すると6600戸が基礎需要となります。つまり分譲マンションを今年買いたい人が6600人いるということになります。
ところが新規販売は2400戸しかないのです。需要と供給のミスマッチです。埼玉県で新築マンションをリズナブルな価格で買いたいと思っている人はどうしたらいいのでしようか。
業者としては、土地価格が上がり建築コストも上がったために、地元需要価格での販売ができないので新規事業はやらない。現実に価格が高い物件は完成在庫として残ってしまっている。という理屈になります。
本当にこれでいいのでしょうか?
住宅というのは「国民の生活インフラ」です。憲法に保証された国民の生活権の根本ともいえます。それが侵されようとしています。
民間企業ですから利益のとれない事業はできないのは当たり前です。では土地が上がったら、建築コストが上がったら住宅は供給しないのですか? 儲かる都心だけで販売するのですか?
それではただ単なる「儲かる時だけ事業する、儲かる案件だけ手を出す金融企業」じゃないですか。
「国民の幸せな生活のために、良質な住宅を提供する」のが住宅企業の根本でしょう。それを追及しないと社会的存続価値はないといえます。