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21世紀の資本論は日本においては不要。

投稿日:2014年8月24日

フランスの経済学者のトマ・ピケティの「21世紀の資本論」が注目されていて、日本訳版が今年の12月に出版されるので日本でも話題となるでしょう。
 その根本は、
資本主義の特徴は一握りの資本家が多くの資産を蓄えることのできる格差社会である。資本から得られる収益率が経済成長率を上回れば上回るほど富はより資本家へ蓄積される。そして蓄積された資産は子に相続され、労働者には分配されない。この格差を是正するために富裕税を、それも世界的に導入しなければならないと主張している。
 たまたま日本では来年1月より相続税の増税が始まり、ピケティの主張を実行することになります。
 確かに、世界全体で富裕税の導入の研究が始まっていて日本の相続税が一つの模範にもなっています。
 確かに「国民の幸福」という点ではピケティの主張はその通りだと思いますが、その前提となるデータの解釈問題があります。
各国の税収・所得やGDPなどのデータをもとに理論構築しているのですが、各国の経済が経済単独現象によってのみの結果の数字ではなくて、政治経済の影響を強く受けていて、さらにはエネルギー国家主義的政治経済の影響が強くなっています。その点からすると大資本家と国家の成長は表裏一体となっています。その資本を毀損させると国家の富を失うことになります。
アメリカのシェールガス革命やロシアの天然ガス外交などその典型です。日本では出光などの頑張りがなければ日本は電力危機となり工業は衰退します。

日本にとって大事なことは渋沢栄一の「道徳経済合一説」でしょう。資本家が国家の成長を促し、それによって労働者の生活も豊かになり、そのバランスを資本家が「道徳」をもって行うことです。
ただ単に金融的資本的に富を独占して労働者分配率が低いから富裕税・相続税で国家が巻き上げるというのは、創意工夫の日本の象徴である出光佐三が「海賊」とまで呼ばれて作りあげた「エネルギー安定を司る出光」を潰すことになります。自らの首を絞めることになります。
日本が行うべきは資本家の道徳教育ということになります。ただ日本の代表的な資本家は私の知りうる限りかなりの人が立派な道徳精神を持っていますので、国家の余計な干渉は不要ということになります。つまり今回の相続税増税は間違いということです。

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