投稿日:2014年6月26日
今回、問題となった不同沈下したマンションは、横浜市西区にあります。
地理院地図によると、当該地は、北側に斜面を有する切土地であることが分かります。
また、当該地に隣接する切土地でのボーリング柱状図(横浜市が公開)を見ると、地表面のN値は小さく、GL-7~-10mくらいからN値が増加し、GL-8~-15m付近からN>50の固い地盤が出てくるようです。
このボーリングデータや、北側に斜面が見られるなどの地形的特徴から見て、支持層の出現深度は敷地内で異なることが想像できます。
杭基礎は、建物の荷重を、杭に集中させるので、一本当たりの荷重が大きくなります。杭の先端地盤が他より弱いところがあると、建物の荷重を支えきれず、建物は傾きます。
施工中は、杭の先端が所定の地層に到達したことを確認します。このため、「杭の長さが足りない」という問題が生じたことが信じられません。
真相は不明ですが、荷重が大きい杭が耐えられなかったことは明白で、その杭と地盤との地耐力が不足したと推測されます。
ということは、一物件の施工不良という問題ではなくて、地盤の深さがバラバラで、固さがバラハラな土地では現在の建築基準法の基準では不足であるということです。
これに対処するためには、全ての地盤を地耐力計算して、マンションの重さの偏りに合わせた、構造計算をする必要があります。ただ、個々の地盤の地耐力に関するデータがないのと、その構成成分の違いがどう地耐力に影響するのか分析できていません。
つまり首都圏直下型地震がきて、昔に海辺だった傾斜地など地盤が弱い立地に建っている大型マンションは不同沈下するかどうかは、わからないということです