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相続税節税策としてのアパート建設は国民の富を減らす。

投稿日:2014年6月24日

来年1月の相続税大増税を控えて住宅メーカーの狂騒が激しいです。
主にはアパート建設です。
住宅着工の「貸家」の4月は3万1177戸で消費増税駆け込み需要前の平成24年4月の2万5823戸から5354戸も増えています。これが主に相続増税対策と思われます。
確かに借金をしてアパート建築すれば相続税がゼロになる人が多いでしょう。
ただ、それを相続した人は借金を相続することになります。
それで空室率が低ければ良いですが、大都市郊外で駅徒歩30分以上のアパートの空室率が損益分岐点の10%前後を維持できるのは至難の業でしょう。
また、一括借り上げだから空室率は関係無いと思っている人は大きな間違いです。
管理運営している会社は空室率が高くなれば家賃を大幅に下げます。それで契約更新の時に借り上げ金額が大きく下がることになります。その月々の受取金額が銀行への支払い額を下回る場合が起きるのです。
 こうなるとすぐに手持ち資金が底をついてアパートを売らなければなくなります。
その時に空室率が高いとか家賃が安いとかフリーレントが多いとなると売却金額は大きく下がります。その時はアパートを売っても借金だけが残ることになります。
 つまり相続に成功したと思ったものが失敗だったということになり、土地はなくなりさらに借金が残るというダブルパンチになります。
 これが5年後くらいに全国で発生することになります。
最大で毎月5000件で年間6万件の「アパート破産」が発生するという事態になり、社会問題となるでしょう。

 さらに賃貸併用住宅の建設も盛んです。
これも同じ構造といえるでしょう。さらに悪いのは賃貸併用住宅というのはアパートよりも土地有効活用率が低いために収益率が悪いということです。
 そのために「売るに売れない」ことになり借金が残るどころか「自己破産」となってしまいます。

 重要なのは現在のその地域の空室率がどうなっているのか、家賃相場がどうなっているのか。そして供給が増えているので、需要供給が悪くなつた時に空室率と家賃相場がどうなるのかを、とことん計算することです。それも自分でやらなければだめです。業者まかせでは絶対にダメです。
 「わからない」、「計算ができない」というのならアパート投資する資格は無いと思うべきです。
 このような時代でもアパート投資をして成功する人はいます。
需要は若干減るとはいえゼロにはなりません。人口は減っても、世帯数はまだまだ増えています。
「需要をどう取り込むか」をその地域で徹底的に研究することです。
「サ高住」は不足しています。
「シェアハウス」も不足しています。
ただ単にテレビコマーシャルをしている会社だから「安心・信頼」なら、日本人の人の良さを逆手に取った詐欺といえるでしょう。
 住宅業界は国民のインフラ産業なのですから、後世に恥ずかしくない住宅投資を行わなければならないでしよう。

 1950年以降の住宅着工戸数は6918万戸で建物投資額は1100兆円を超えますが、2013年3月末の住宅建物の国民計算残高は339兆円です。
 つまり国民は住宅投資を1100兆円したのに残高は339兆円しかないということです。
その差額の761兆円は大半が住宅企業の収益に消えたということです。
 これでは国民のインフラ産業とはいえないでしょう。
住宅業界は国民の富を増やすか、国民を幸福にすることをしないと社会に必要なくなるといえるでしょう。

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