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新築一戸建て分譲の2014年は低価格から付加価値へ転換しなければならない。

投稿日:2014年3月11日

新築一戸建て分譲を取り巻く環境として、消費増税駆け込み需要目当ての過剰生産と反動減による需要減という「過剰生産だが、需要減退」という天国と地獄が2013年度から2014年度にかけて訪れます。
それに加えて、デフレ脱却と円安による輸入物価の高騰と建設労賃の上昇というコスト増加がおきているが、所得が減少しているために需要価格が下がり、契約価格が下がるという「コスト増加だが、契約価格は上がらない」ということがおきています。
この2つが新築一戸建て分譲の経営にとってビジネス構造を揺るがす大事となっています。

新築一戸建て分譲企業というのは、土地を買い建物を建てるということにおいて、割安にできて「家賃並みの住宅ローンで買える」商品にしたてるということです。つまり土地仕入相場より1割高く買い、一般土地相場+注文住宅建設費よりも1割安く販売できるということです。これは「粗利率の縮小と資本高回転」によりなせるもので、さらに「デフレ経済と工業化」によるものです。
1990年代の後半から、プレカット材が高品質で低価格で大量生産されるようになり、システムバスやシステムキッチンなどの住宅設備も高品質・低価格・大量生産されるようになり、ローコスト住宅が経験が少ない若年建設労働者でも短工期・低コストで大量建設できるようになりました。その波に乗ったのがパワービルダーです。
つまり土地は売りやすい土地を選んで買い、建設はバブル時の過剰生産体制の名残りで発注側が選ぶことができることが前提でした。
さらに販売においては新聞折り込みチラシやポスティングから、住宅ポータルサイト掲載が中心ヘ大きく動いたために、東京本社スタッフのみで全国・大量販売がしやすくなりました。これもパワービルダーの拡大を促したといえます。

それが2014年は、土地は買い手が多くて、特に売りやすい土地は高騰するか買えなくなっています。建設は職人不足で受注側が選択して受注するようになっています。全く逆転したといえます。
そうなると「家賃並みの住宅ローンで買える価格で販売」ができなくなります。そのため高く販売せざるをえませんが、地元の人は買えません。
大型タワーマンションなどは広域需要なために地元で買える人がいなくても、買える人が広域で集まるために売れていまいます。さらに都心高額マンションは実需以外に外国人需要と投資需要や相続需要などの資金が入っているために、価格高騰しても需要があり売れています。戸建分譲は10戸以下の規模が多いために地元需要での契約が8割となっていて、実需以外の資金は入ってきません。それが大きな違いとなっています。

さらに大型マンションは時代の求める機能の、「免震・制振」と「地盤対策」「耐火」はもとより「防災としての蓄電池や防災備蓄」、そして「省エネ」などが備わってきています。それが新築一戸建て分譲は2013年よりは2014年の方が後退しているといえます。震度6強エリアでの耐震等級1相当の建物の少なさや、液状化危険地帯での抜本的地盤対策である岩盤までのくい打ちの少なさや、低酸素法認定住宅の少なさや長期優良住宅の少なさにみてとれます。これはコスト上昇・販売価格低下への対策としての弊害です。これでは東京23区の城東地域(足立・葛飾・江戸川など)での戸建分譲の魅力は著しく減衰しています。それでも低価格販売のために地元として必要な機能を削ぎ落としています。

つまり2014年の新築一戸建て分譲の経営は、
・売りずらい土地を相場観より高く買って、
・建設コストが上がり、工期が以前より伸びてしまう
・そのために、粗利率が低下しつつ資本回転が下がる
・さらに建設コスト上昇により求められる機能が不足している
・地元需要価格と販売価格にギャッブが生まれるため地元需要が動かない
という状況により、低機能、低価格での販売が行き詰まります。
となると取りうる道は
・新築一戸建て分譲に住むことにより生まれる「住まい価値」を買ってもらう
ことが重要になります。
新築一戸建て分譲に家族で住むことで、豊かで楽しく快適に、幸せな暮らしを送ることです。
そして行動経済学的満足度を高めてもらい付加価値を感じてもらうために、社会心理学的現代広告心理技法を活用してブランディングをする必要があります。

つまり2014年の新築一戸建て分譲の経営は一言でいうと「低価格から付加価値への転換」です。
そして「ローコストからブランドへの転換」です。

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