投稿日:2013年12月29日
新築一戸建て分譲の市場規模は、住宅着工ベース(出典:国土交通省)で言うと2012年12月から2013年11月の一年間では13万3720戸で前年同期比+10%です。参考にマンションは12万8379戸で前年同期比+5%です。
価格面で言うと、新築一戸建て分譲の契約平均価格は3235万(出典:アトラクターズラボ・戸建分譲データベース)となっていて、マンションは3839万円(出典:住宅金融公庫)ですのでマンションより600万円も安くなっています。
そのため新築一戸建て分譲の市場規模を金額で表すと、13万3720戸×契約平均金額3235万=4兆3258億円となります。それに比較して分譲マンションは12万8379戸×3839万円=4兆9285億円なので、新築一戸建て分譲は6026億円少ないというこことになります。
この価格差の一番理由は東京都の着工戸数の違いです。
新築一戸建て分譲の東京都の直近一年の着工は2万1475戸で全国での構成比は16.1%です。マンションの着工戸数は4万2204戸で構成比は33%となっていて、戸数もシェアも戸建はマンションの半分しかありません。
これほどの差がつくというのは都心の容積率の高い所での着工戸数の差といえて、ズバリ「タワーマンション」の差といえるでしょう。
マンションにおけるトップスターは「タワーマンション」で、新築一戸建て分譲におけるトップスターは「郊外大型分譲」なのですが、この両者の魅力度の差が大きいことが東京都の着工戸数の差といえます。
「タワーマンション」は、立地が良くて、交通利便性が良くて、耐震性が高くて、地盤対策が完璧で、省エネ性も高く、商品性としては現代を代表する住宅と言えます。そのため購入希望者は多くて、超広域商圏でお客様が集まります。「300戸一期即日完売」などが多いのです。
か たや「郊外大型分譲」は、立地がイマイチで、交通利便性もイマイチで、耐震性は高く、地盤対策はまちまちで、省エネ性は高い、自然環境は良くて、街並みは美しい、という商品性で、ある意味ではアメリカの開拓時代の形がそのまま続いているもので19世紀から20世紀の住宅ともいえます。そのため、購入者はマンションに比べると少なくて「30戸一期即日完売」が出るとニュースとなるくらいです。
この差が東京都での着工戸数の差を生んでいます。
つまり新築一戸建て分譲が市場規模を伸ばすためにはその商品性を高める企画を考える必要があります。またそのための技術開発が必要でしょう。
また新築一戸建て分譲は、アメリカの開拓時代や産業革命後のイギリスが都市衛生市街地を新規形成したような、国が発展して都市が発展するのに伴ってできるものと言えて、人口移動に伴うものといえます。
そのため新築一戸建て分譲の市場規模は人口移動に影響されると言えます。
その人口移動は2012年度で232万人で10年前の2002年度274万人から▼42万人・▼16%減っていて、この先10年後の2022年には195万人と推計されるので、▼16%潜在需要は減るといえます。
となると2013年が13万戸を超えて前年比+10%というのは消費増税の影響が強くて、できすぎといえます。
タワーマンションの「免震」「制振」のような新技術開発が無いままに、着工だけが増えているため、新築一戸建て分譲業界としての努力を怠ったツケは今後やってきます。