投稿日:2013年10月28日
新築一戸建て分譲住宅の基礎需要は首都圏で約5万戸です。半年で2.5万戸になります。それが今年の4月から9月の半年で4.3万戸もの契約となり、消費増税駆け込み需要と金利先高観と価格先高観とアベノミクスのによるマインド掘り起こしで+1.8万戸・+72%ものプラスオンになりました。すさまじい戸数です。来年度以降の需要先食いは一体どの程度したのでしょうか?
新築一戸建て分譲の基礎需要は国勢調査の民営借家戸数がもとになります。民営借家に住んでいる人の「30㎡以上で二人世帯以上」のほとんどが20年以内に「持家」となります。ですので民営借家の5%が毎年「持家需要」として発生することになります。
・首都圏の民営借家の30㎡以上が302万7412戸です。
・その5%は15万1370戸です。
・それが「新築一戸建て分譲」「注文住宅」「分譲マンション」の3つのどれかになります。単純に3で割ると5万456戸となります。
これが新築一戸建て分譲の基礎需要となり、年間5万戸と計算されます。
これ以外に、現在一戸建てやマンションに住んでいる人も買いますが、その比率は新築一戸建て分譲の全契約戸数の2割前後となります。
新築一戸建て分譲を買う理由の一番が「家賃を払うより住宅ローンを払うと資産になるから」です。ですので家賃並みの住宅ローンで買える相場のた時は民営借家の人は増えます。既に持ち家の人は、現在の住宅を売却しなければならないのですが、バブル崩壊以降は土地の価格が下がり続けているために買った時の土地の価格より、売る時の価格が下がっているため、中古として売る際に住宅ローン残高よりも相場安いということになると,買い替えるためには自己資金を入れないと買えないということになってしまいます。そのために新築一戸建て分譲の契約者において「持家の買い替え」層は低くなっています。
そのため新築一戸建て分譲の基礎需要は民営借家からの5万戸が基礎となり、持家買い替え層は5000戸から1万戸前後で計算がしずらい需要です。
新築一戸建ての首都圏の4月から9月の上半期の契約戸数をみると
・2011年度 2万5733戸 基礎需要2.5万戸の+733戸・+3%
・2012年度 2万6464戸 基礎需要2.5万戸の+1464戸・+6%
・2013年度 4万3000戸 基礎需要2.5万戸の+1.8万戸・72%
2011年度上半期はほぼ基礎需要通りの契約戸数でした。
2012年度上半期は基礎需要の+6%で少し増えました。
それが2013年度上半期は+72%と大きく増えました。
消費増税の駆け込み需要だけでなく、史上最低金利下での金利先高感と円安による価格先高感とアベノミクスによる株式市場上昇による景気マインド向上による4つの追い風によるものです。
ですので、民営借家の来年度分需要の先食いに加えて、持家層の株式市場による利益出しでの買い替えや、住宅ローン借り換えなどの需要も取り込むなど、様々な需要が発生したと考えられます。
+72%を単純に4等分したとすると+18%となるので、最低でも消費増税の駆け込みで来年度以降の需要先食いは+18%以上は発生したと推測されます。持家層の買い替えが全体の2割程度ですから+72%の80%とすると58%となり、最大で58%となります。
ですので、新築一戸建て分譲の来年度以降の先食いは18%以上で58%以下となり、戸数としては2.5万戸の18%で4500戸から58%で1万4500戸と計算されます。その中間とすると約1万戸となります。
つまり2013年度上半期で新築一戸建ての首都圏では消費増税や金利先高観やアベノミクスなどにより来年度以降の需要先食いは約1万戸発生したといえます。