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新築一戸建て分譲の資産価値の2013年型の考え方

投稿日:2013年8月15日

新築一戸建て分譲住宅の資産価値は2013年現在として従来の考え方から大きく変わる必要があります。

現在の新築一戸建て分住宅の資産価値の考え方は

中古住宅としての売買の時

A1 : 都道府県調査地価(公示地価)もしくは路線価

B1 : 建物は20年減価償却の残存価格

この土地と建物の価値を合わせたものになります。

住宅ローンの査定額となると

A2: 土地は路線価の70%

B2 : 建物は20年減価償却の残存価格

となります。この査定額は購入者がほとんどを住宅ローンに頼る場合はこの査定額が購入予定額になります。そのために、売主の考えている額と住宅ローンで買う人の予定額が大きな開きとなっています。そして戸建て分譲住宅としては価値が大きく滅失してしまっています。

このようになってしまった問題点として

①   1990年のバブルが起きた時に銀行が貸し出した査定額が、その後のバブル崩壊により回収できなくなって大きな損金となってしまった。そのために、より厳密に査定するようになり公的地価の中で最も低い「路線価」を使うようになり、さらにリスクを減らすために、その路線価の70%を査定額とするようになってしまった。

②   1980年以前の木造住宅は耐震性・耐久性などが脆弱なために「建物の寿命30年」とされてきた。そのため国税庁の減価償却の基本耐用年数が33年と決められていて、その約7掛けである20年を建物原価償却の基本として使ってきた。

この2つの原因により、一戸建てに対する査定額が決められています。

■ただ2013年現在では、その背景が変わっています。

③   土地の価格はバブル以降にほとんど下落してきた。ただ2012年に下落率がゼロに近づいてきていて、反転している地点もでてきた。また、実際取引価格においては、東京都の都心部などで上昇をしている。この2012年の土地の価格形成理論ができていない。ただ公示地価において「人口との関連」に言及していて、大まかには「人口流入の多い土地の価格は上昇する傾向にある」と考えられている。この人口動態アプローチによる地価形成理論を構築する必要がある。

④   2000年の品確法以降の一戸建ては耐震性が高まり、耐久性も高まっている。特に「長期優良住宅」においては一時期に「200年住宅」とも呼ばれていて、長寿命になっていることは確実である。メンテナンスさえ行えば100年は持つといわれていて、少なくとも30年ということは絶対に無い。木造住宅の減価償却期間の見直しをしなければならない。

この2点が2013年現在での一戸建て分譲住宅の資産価値形成の根本になります。

さらに土地の価格形成においは、他の要因も絡んできます。

土地が高くなるという状態というのは、買いたい人が多いという状態になることです。厳密に言うと、地元需要よりも供給が少なくて、そこに広域需要が入ってきて需要にプラスオンされて、常に需要過多の状態を保つことです。

そのためには土地価格形成要因として

a-1 犯罪が少なくて、街区が整理されている閑静な街並み

a-2 公立教育レベルが高い、もしくは私立の人気校があるか、近い。

a-3 センスの良い、人気の商業がある。もしくは電車で近い。

a-4 公園・街路樹などの緑が豊か。

a-5 都心ターミナル駅に30分以内で行ける駅・路線である。

a-6 駅徒歩12分以内。

a-7 震災リスクが比較的に軽微と予測されている。

これらの条件を全て満たすとその土地は高くなります。首都圏でいえば、吉祥寺駅や三鷹駅などになります。

そしてその価格形成の根本は、その土地を活用して最大限の収益を得られる時の価格が基本となり、そこに競合によるプレミアムが付くことになります。つまりその土地に賃貸住宅なり、事務所なり、商業などをやった場合に最大収益をあげられるものをシミレーションして建物価格を引いたものが土地価格となります。収益還元法ということになります。そして実際には一戸建てを建てて持家として住むので収益は関係ないのですが、土地の価格形成としては収益還元法がベースとならざるを得ません。そこにつくプレミアムとしては、最大が需要過多の場合で「オークション理論」からすると2.25倍となります。最低はマイナスとなりゼロに近づきます。

つまり

A3 「戸建分譲の土地の価格 = 収益還元法 × プレミアム度 (a1~7)となります。

そして建物の価値形成要因においては

b-1 長期優良住宅である。もしくは性能評価書・構造計算書などがある。

b-2 メンテナンス・リフォームが行われている。(特に屋根・外壁の防水)

b-3 住宅履歴がある。もしくはシステムに加入している。

この3条件が揃うと建物寿命は30年からはるかに伸びることになり、建物価値は維持されることになります。もし100年償却ということになれば年1%になるので現在の20年償却の5%からは1/5の減価償却で済むということです。

この10条件を満たす一戸建ては資産価値が高くなります。

そして現在の中古住宅の平均である築20年の価格は大きく変わります。

一番高くなるのは「リバースモーゲージ型商品」となれるものです。

まず前提条件として、日本経済の今後20年間の経済成長は長期安定して年平均1%前後と仮定して、物価上昇率が年平均1%ならば土地の価格は0~1%の中に納まることになるという仮定が前提となります。それであれば首都圏全体での人気の土地であり需要過多である土地は現在価格よりも0~22%という計算になります。そこで建物価値が年1%減衰とすると20年で20%減なので、80%の価値が保たれることになります。

となると、例えば吉祥寺駅徒歩10分の新築一戸建て分譲住宅を7000万円で買ったとすると、建物価格が1500万円で土地が5500万円なので30坪とすると坪単価は183万円になります。それが20年後に土地が10%上がっているとすると30坪で6000万円になり、建物が80%なので1200万円となり、中古一戸建てとすると7200万円となります。購入額の7000万円よりも200万円高く売れるということです。この7000万円を35年ローンで買って20年後の残高は3000万円とすると、売却価格から住宅ローン残高を引くと5200万円の現金が手元に残ることになります。その現金を個人年金として小分けに使うも良し、住宅をリバースモーゲージとして差し出して年金をもらうのもいいと思います。

このように人気地であれば「リバースモーゲージ型商品」となります。

次に高くなるのが「退職金型商品」となれるものです。

土地の価格が20年後も同じ価格となっている場合です。

新築一戸建て分譲住宅を5000万円で購入して、建物1500万円で土地3500万円相当とすると、20年後の建物が1200万円で土地が3500万円となり、合計で4700万円となります。住宅ローン残高が2150万円とすると、売却後は2550万円が手元に残ることになります。金額的に退職金に近いものとなります。老後資金としてはまずまずであると言えます。

この場合も土地価格が変わらない人気のある土地であることが証明されればリバースモーゲージが組める可能性が出てきて、売却せずに老後資金を売ることができるようになります。

そして、このような考え方を取り入れても価値が落ちてしまう土地は存在します。キツイ言い方ですが「自己破産型商品」となってしまうものです。

郊外の駅バス便で新築戸建分譲を2500万円で買ったとして、土地下落率は現在の▼1.7%が20年続いたとして、建物は書類など無くて現状と同じ減価償却とします。すると、建物の20年後は償却残の120万円となり、土地は70.9%まで下がるので、921万円となります。合計で1041万円となり住宅ローン残高の1071万円よりも価値が下がってしまいます。自己資金を入れないと売却できない状態になってしまい、資産としてはマイナス資産なので、キツイ言い方では「自己破産型商品」となってしまいます。

このように新築戸建て分譲は様々な資産価値計算となりうります。

2013年現在の戸建て分譲の販売事例でそれを分類すると

・「リバースモーゲージ型商品」は全体の5%以下です。

・「退職金型商品」は全体の10~20%程度です。

・「自己破産型商品」は全体の40%程度です。

これが現在の戸建て分譲の資産という面からの姿と言えて、20年後にこの資産の考え方が取り入れられていれば、上記の商品分類になると思われます。

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