得する新築一戸建て
投稿日:2013年7月11日
日本経済新聞社が、「国土交通省が戸建て中古住宅の新しい評価基準を作る」と7月7日の朝刊に掲載しました。
現在の中古戸建ての評価は、土地は路線価で計算されて、建物は取得原価よりの原価償却により15年から20年でゼロとなります。
それをリフォームや改修などしたものを建物の価値として上乗せしようというものです。
この考え方自身は、一戸建てを建築物評価よりも、使用性の評価を強めて、中古不動産の流通を活性しようというものによるものです。その流通促進のために、住宅ローンの査定基準を新たに構築して、消費者が買いやすくしようというものです。
これが市場に導入される前提としては、新築一戸建ての性能・機能の評価が必要になります。これまでは、市役所がその構造から評価額を決定していて、耐震性や省エネ性などの性能・機能に対するの評価は少ないものでした。
そのためには、その性能・機能を評価できる書類が必要になります。
まず一番大切なので「建築確認申請書」です。
ここに、構造や使用部材が建築基準に適法な建物であることが記載されてまいす。これと「竣工検査済証」などは必須といえます。瑕疵保険などにおいての必須書類です。
次に、「構造計算書」になります。
これはどうやって震度6などに耐える建物にしたかの詳細計算が記入されています。これがあると中古住宅の売買の際の「耐震証明」がとりやすくなります。
そして「地盤調査報告書」など地盤に関するものです。
これはあったりなかったりの場合が多いので、必ず手に入れたいものです。そして地盤調査で改良が必要となれば、その改良の内容を記載しもの必要となります。
特にこの場合は建築基準法の規定と、東日本大震災以降に液状化基準を見直したものが違うために、中身をしっかりみる必要があります。時に「地震保険」などが受けられないケースも出てきます。
建築基準法は震度6程度を想定していますが、東日本大震災以降は震度7などの最悪な場合を想定しているためです。その該当地域に住宅がある場合は、以前とは違った地盤に対する見方が必要になります。
三番目に「性能評価書」があるといいです。
これは必須ではないですが、いろいろな性能について等級で明示されているためにわかりやすいものです。
耐震などその地域においての必要な等級や、省エネなど自分として望ましい等級であるか判断できます。
あとは「住宅履歴」となります。
これは新築時の大まかな性能・機能を記入し、その後のリフォームやメンテナンスを記載して、建物の維持管理が適切に行われているかを証明するものです。
マンションの中古の売買の時に管理状況が価格を左右しますが、それと同じということです。
これらにより中古戸建て住宅の価格が上がると新築一戸建て住宅の購入意欲も高まります。
土地の評価は路線価ですので経年劣化はありません。
それに建物評価が落ちずらくなると、新築価格からの下落率が減り、現在価値から住宅ローン残高を引いた価格差が出やすくなり資産性として「得する」ことになります。
今回の中古住宅の基準の見直しがされるということは、今後はこのように「得する」新築一戸建てが出てくる場合があります。
同じことが、すでにマンションで起きています。
マンションは原価償却・経年劣化・路線価による評価というより「賃貸収益法」による評価が定着しています。そのため、人気物件は、買って10年後でも「得する」物件が増えています。
単純に言うと、「得する」物件は現在販売中の半分です。
その理論と計算方法は私の所属する会社であるアトラクターズラボが開発し公開していて誰でも計算できるようになっています。
戸建てに関しては、理論構築のためにはマンションの数倍のデータと解析が必要になるために、なかなか進んでいません。
戸建て中古住宅は、土地が道路一本違うだけで、同じ番地でも接道方角が違うだけで、違う価格となってしまいます。
さらに、その地域での供給量と需要量のバランスで価格が決まります。つまり、買いたい人が多くて、販売が少ないと高くなり、逆だと安くなるというものです。
人気エリアと呼ばれるところが高くなる傾向ですが、人気エリアで無いところでも供給数が少なくて需要があると価格が維持されることがあります。
ただそのために必要なことがあります。
①建築確認申請と竣工済み証があること。つまり欠陥住宅でない事です。
②その地域の予想震度と予想地盤被害をクリアーしていること。
③時代の標準基準設備以上であること。
です。
この③は、例えばシステムバスです。
1990年以前の浴室は作り付けが多かったのですが、2000年以降は工業品のシステムバスが多いです。これは大量生産なために価格が安くて品質が良くなっています。そして、使用性はそれ以上に高まっています。明るく・広く・清潔です。特に戸建て一坪タイプが多いために、足を伸ばして入れる浴槽であって、子供とは入れる洗い場であったりします。これは最近の新築一戸建てとしては当たり前ですが、使用性としては良いものです。これが時代の標準装備となります。
そのほか、ウォシュレットトイレであったり、電動シャッターであったり、Low-eサッシであったりします。
これであると1980年代の郊外のバス便の土地200㎡以上のものが路線価坪30万円で1980万円で売られているのですが、駅近くで2003年ですが土地100㎡で路線価坪50万円のものが1980万円で売られていると、こちらの設備が良いのとリフォームせずに入居できるためにこちらが売れてしまいます。
あと「得しやすい条件」を上げれば
④駅徒歩圏であること。
⑤その駅の路線が東京へ一本でいけること。
⑥周辺に住宅・商業が集積していること。
⑦教育環境が良いこと。
⑧公園・自然が豊かなこと。
⑨人口が増えていること。
⑩工場などがあり、生産が順調・拡大していること。
⑪新規販売物件が需要数よりも少ないこと。
つまり、現在の新築一戸建てで上記3つの条件をクリアーしていて、④番目以降で一つでも多く当てはまると将来的に「得する」中古物件となる可能性が高いです。
北関東などでは高崎市や宇都宮市の駅徒歩20分くらいのエリアが注目されています。