投稿日:2013年4月5日
史上最大の金融緩和が行われようとしています。願わくば「史上最悪」にならないことを祈るばかりですが、まず反応したのは株式市場が上がりました。これをみると、やはり「バブル」になりそうです。
この「市場最大の金融緩和」が新築一戸建てに何をもたらすかというと、土地価格の上昇がまずあります。
たぶん4月中からメガバングに大量のお金が入ります。それは銀行にとってみれば「商品」ですから、それを売らないと不良在庫となります。ですので、とにかく誰かに貸したいというのが本音です。
ただ貸すには、貸出基準を満たさないといけません。本来は担保があるといいのですが、追加担保を出すところはないでしょう。となると、貸借対照表のBSバランスを保つ範囲で貸すということになります。ただ、それは資金が必要な企業においてはメインバンクが特別取引の中で行われている場合が多くて、ここを深堀することは難しいです。
となると「信用」を拡大するしかありません。「信用」とは、担保も何も無いのですが、「あるビジネスを行えば利益が出る事業計画である」ことにお金を貸すということです。ある意味で、「夢」や「ビジョン」や「熱意」という形のないものにお金を貸すということです。ただ、これも従来取引があって、過去に同じビジネスで成功していることが条件になります。ただ、これはうまくいつているビジネスならば、間接金融でなく直接金融などでまかなうことが多いので、あまりないと言えます。
最後に残るのは、過去に例のない新たなビジネスにお金を出すということですが、これは銀行にとっては「回収見込みの薄いビジネス」となってしまい到底貸せるものではありせん。一部の熱血支店長ができるかどうかです。
ではどうするかと言えば、「不動産を回す」ことになります。これは、例えば収益賃貸ビルがあれば通常の4%以上の収益還元計算で価格が決まりますが、その収益還元だけでなく転売利益見込みで買うのです。つまり、収益還元で10億円と査定されたビルを2%のインフレになると見込むと来年には10億2000万円に値上がりするはずなのでそこから金利相当を割り引いた価格の10億1000万円で買うのです。そして、それを1年間置いて、10億2000万円相当になった時にさらに次の年に2%値上がる見込みなので10億4000万円で金利相当を引いた10億3000万円で売ればいいのです。
これが「低金利の余剰資金をインフレで回す」一つの方法です。さらにこれを複雑にしたものがいわゆる「金融工学」で「サブプライムローン」です。今から、日本でこれらの不動産金融バブルが始まります。
そのほとんどは、ビルとか土地とか賃貸マンションですが、一部は個人住宅を投資対象とするものもでてくるでしょう。そうなると新築一戸建ても影響を受けて、土地が上がることになります。
1990年のバブルの時は1980年の土地価格の2.5倍になりました。今回はそれ以上の金融緩和ですから少なくても3倍になるという計算になりますが、さすがにそこまではありえないとして、現在の不動産流通量を200兆円とするところに70兆円入れれば、単純計算では35%の上昇となります。とすると少なくとも2%の上昇では済まず、最低でも10%以上で最大で2倍くらい跳ね上がることがあるかもしれません。
すると新築一戸建てはどうなるかといえば、その買い手である個人の所得は2%あげたいということなので現在の日本人の平均所得の407万円の2%アップで415万円になるということです。ところが土地の価格が35%上がれば新築一戸建ての首都圏の平均である3500万円が土地コストが500万円くらい上がりますので、販売価格は4100万円を超えることになります。つまり現在は平均所得407万円で新築一戸建てが3500万円ですから8.6倍なところが、平均所得が415万円になって新築一戸建てが4100万円になるので9.8倍になるということです。
つまり平均所得以下の人は新築一戸建てを買えなくなるということです。これが「アベノミクス金融緩和」の行先シナリオとして考えられます。