再生エネルギーの現在
投稿日:2012年9月28日
東京ガスの千住センターに行ってきて、再生可能エネルギーの今を見てきました。
まず、太陽光発電の多結晶シリコン型の1994年設置のものです。
1994年設置ですから18年経過しています。ほとんどメンテナンスしていないそうです。
それでも立派に発電しているそうで、20年はもつんだなと感心しました。
太陽光発電の最初のものなので発電効率が11%と低いものですが、20年以上持つのであれば、コストはペイできるかなと思います。
ただ問題は最適角度が30℃なので、それしようとすると、基礎が必要で、そうすると建物の容積率にはいってしまうことと、斜線規制にひっかかる場合があるということです。
それと太陽光発電は昼夜の発電量の差が大きくて、需要供給のバランスが悪くて電圧が不安定になります。すると電圧維持のために火力発電でカバーする必要がでてきてしまいます。
結局、太陽光が増えれば、それに見合う火力発電が必要という自己矛盾をおこします。
あとはHEMSと蓄電池などで全体をコントロールしなければなりません。
ただ、本当にHEMSでバランスがとれるかどうかは大規模社会実験しないとわかりません。
次に、太陽光の壁面設置という発想の逆転というか、そこまでやらないといけないかというものです。
パナソニック製の単結晶+薄膜アモルファスシリコン型です。発電効率は16.4%と太陽光発電としては高い部類に入ります。
ただいかんせん壁面設置ですから発電効率は落ちます。
設置費用と発電収入と考えると合うのは非常に難しいといえて、可能性としては、ビルとしてのゼロエネルギー化の費用の一部としてとらえることができるかです。
そして、ガスらしいのが太陽光熱集熱機です。
これはドイツと中国の合弁会社による真空管式太陽熱集熱機で発熱効率は53%というものです。
その効率から言って、ある意味面白いといえるかもしれません。
ただ、真空断熱なので真空度が落ちると効率が落ちるはずです。真空度がどの程度維持できるかにかかっていますが、見た限りではその辺の配慮は少ないかなと感じました。
そして、最後はガスによる燃料電池です。
発電効率は45%というのですから、この数字はかなり高いといえます。
火力発電所が43%ですので、自宅火力発電所といえて、送電効率の悪さを考えると、これが一番省エネによいと思います。
ただ、まだ実験中で今後に販売されてくるそうです。
問題はコストでしょう。
太陽光発電が100万を切るようになってきて、なんとかコストが合うようになりましたが、燃料電池もその金額に近くなる必要があるでしょう。
現在の200万超えをなんとか量産して低下させる必要があります。
再生可能エネルギーとして、地中熱などがとりざたされていますが、送電効率などを考えると厳しいですので、「地産地消」を考えると、燃料電池が良いかもしれません。
スペインで大規模な風力発電があり、ひとつの塊で1000基以上ありましたが、あまり回転していなくて3割ぐらいは止まっていました。それからすると、その発電効率と送電ロスを考えると決してペイはしていないでしょう。
また、同じく大規模太陽光発電群もありましたが、マドリッドからバスで2時間くらいのところなので、送電ロスは大変なものがあると思います。
むしろスペインはエアコンを使わない工夫が良いです。「パティオ」やその貧しさもありますが「暑いから仕事しない」なんてのんびりした国民性もあります。
フランスは国土のほとんどが小麦畑ですが、その中に唐突に原子力発電所があります。その違和感たるやもの凄いものでしたが、フランス全土をバスで回るうちに、それを何個も何個もみると、これがフランスなんだなと思えてきました。
それに比べて、ドイツは川の近くに火力発電所がある、ある意味で昔ながらの風景で、再生可能エネルギーの取り組み先進国といっても、当然まだ火力発電に頼らざるをえないのです。だからこそ工業がもっているといってもいいです。
「地産地消」や再生可能エネルギーは、上っ面の議論では現実がついてこないものなので、取り組むとしたら、相応のコストは覚悟せざるをえないということでしょう。
家庭用はまだまだ工夫の余地があり、日本人の真面目さと気質と創意工夫を考えるとなんとかなるかなという気もしますが、工場は別に考えないといけないと思います。
国際競争力というものを考えないといけません。
中国のように大国だから経済的に強くなると言う幻想はもう無く、シンガポールのように創意工夫が必要です。
日本は創意工夫は得意ですから、「工場特区」のようなものを作って地熱発電を優先的にもっていくなどを考えれば、必ず道はあると思います