投稿日:2012年5月2日
■ 「新築一戸建て」とは「新築一戸建て分譲住宅」を表します。
なぜこんなに長いかというと
・住宅情報ポータルサイトの検索において、「中古一戸建て」と「新築一戸建て」を分けること
・国土交通省の新設住宅着工統計における「分譲住宅」において「分譲マンション」と「分譲一戸建て」を分けること
・木造住宅において「注文住宅」と「分譲住宅」を分けること
などから、「新築一戸建て」となっていったのです。
■新築一戸建てを住宅着工の1951年からみてみると
国土交通省の新設住宅着工統計はは1951年から始まりました。その中で、新築一戸建ては「分譲」の「戸建」になるので、それをみてみると
1951年の住宅着工統計の開始当初は4976戸でした。
この1951年4976戸から1961年・1万6584戸までは、まだまだ世間的な認知は無い時代でした。
1962年・2万2923戸から1968年・約7万戸は、戸数が増えて世間の認知が増えてきた時代です。主に、大手不動産が新規事業として行い始めました。
そして、1970年代に入り高度成長期になり、開発ラッシュとなり、新築一戸建て分譲は10万戸を超えるようになってきました。
この1970年の約10万戸から新築一戸建てを専業とする企業も出てきて、郊外で団地開発が盛んになってきました。それと、私鉄沿線の開発が盛んになり、電鉄系企業も参入を始めました。
それを支えたのは「団塊世代」が結婚し子どもを産み、住宅を購入し始めたことです。
そして、1977年が新築一戸建て分譲住宅の着工戸数としては最大になった年です。
1977年の住宅着工における「分譲戸数」は35万3560戸です。これはまだ分譲戸建と分譲マンションの区別がされていないので、その内訳戸数は推計となりますが、戸建が17万戸でマンションが18万戸と計算しました。
この1977年の前後である、1973年・17万戸から1980年・15万戸までの8年間・120万戸が、新築一戸建て分譲が最も建築された時期です。ただ、今でいう「旧耐震」の建物であり、「粗製乱造」と言われても仕方無い時期で、「欠陥住宅」も多く存在した時期です。
そして1980年に建築基準法が改正されて、「新耐震基準」が導入されて、着工戸数は10万戸台に減りました。この時期は「建売住宅」と呼ばれていて、「安かろ悪かろ」も含まれているためと、「旧耐震」住宅の評判の悪さで、売れ行きが悪くなっていたのです。
その品質改善も徐々に進み、世はバブルに突入して着工戸数は1989年に15万戸と増えてきました。
ただ地価の高騰による販売価格の高騰とバブル崩壊が重なって1992年には9万戸と1968年以来の少なさとなりました。これにより、多くの企業が倒産・廃業しました。
そして1993年には12万6927戸と回復しました。主には土地が下落して、分譲住宅が買いやすくなったためです。このころより、パワービルダーと呼ばれる企業が出始めた時期と、ハウスメーカーがプレハブ住宅の生産体制を確立し始めたものです。
そこに阪神大震災がきて、古い木造住宅が倒壊し、プレハブ住宅の耐震性の強さが出ました。その後、木造住宅は苦戦し1998年・11万2506戸から2002年11万5584戸までは伸び悩んだ時期です。
そして建築基準法が改正になり、品質確保法・品質評価制度も導入され、木造住宅の耐震性が向上し、それにプレカット材の普及がなされて、パワービルダーが全盛になっていきました。
2003年・13万9430戸から2007年・12万1163戸まで「ミニ住宅バブル」となり、新築一戸建て分譲住宅にとって4回目の黄金期になりました。これを支えたのは「団塊ジュニア」が結婚適齢期になり住宅購入を始めたことです。
そして、そのミニ住宅バブルの終焉が近づき、在庫が急増した時期に「建築基準法改正ショック」があり、着工は10万6609戸とへったところに、リーマンショックがきて、着工は9万5294戸と1992年以来の10万戸割れとなりました。
2010年に後半好調となり11万3427戸と増えて、このままなら2011年は12万戸突破かと思ったところに東日本大震災がきて、結局2011年は11万7979戸にとどまりました。
■新築一戸建ては団塊世代親子の影響が大きかった
このように過去の歴史をみてみると、新築一戸建て分譲住宅は
・団塊世代の住宅ニーズを満たすことで勃興し
・団塊ジュニアの住宅ニーズに合わせることで現在の体制が構築された
といえて、団塊世代親子の住宅ニーズの影響が多大であるといえます。
■今後はどうなるとかと言えば
まず、「中古住宅ストック」が増えてきたことがあります。
新築一戸建て分譲住宅は1951年以来の60年で592万戸建築されて、その中で「ストック」にカウントできる新耐震基準は378万戸あります。
それらが中古市場に本格的に出てくれば、消費者の選択肢が増えることになり、新築住宅の圧迫要因になります。
また、少子化の影響がこれから出てきます。
住宅一次取得人口は25歳から39歳となり、その年齢で新築一戸建て分譲の購入者の8割を占めます。
ですので、ここの人口人数は着工数そのものを左右します。
その人数が減っていきます。
そのために今後の新築一戸建て分譲の需要母体は減ってしまうことが確実です。
■新築一戸建ては賃貸需要をとりんで、5たび黄金期を迎えることはできる。
ただ、新築一戸建て分譲は、土地価格により販売価格が安くなると、契約が増えます。それは安くなれば、年収の低い人でも住宅ローンを組めるようになり、購買可能者が増えるからです。
住宅購入の動機の上位で「家賃より安いのでローンを払うより得だから」というものがあります。つまり、「家賃より安いローン」で買える住宅であれば、人口に左右されずに、賃貸住宅の数だけ市場が増えることになります。
それは賃貸住宅より新築一戸建て分譲のほうが、「広い」「性能がいい」「使いやすい」ということがあるためです。
特に、最近の新築一戸建て分譲住宅は、次世代省エネ住宅が主流で「省エネ性が高い」、震災の教訓を生かして「耐震性が高い」、企画型住宅の特徴である「機能性の高い設備」を大量発注により安いコストで装備されているなどあり、さらに土地価格の下落傾向もあり販売価格が安いものが多いなど、賃貸住宅より確実に魅力的なものとなっています。
そのため新築一戸建て分譲住宅は
「安心で安全」で「時代に即した装備のいいものを安く提供」することにより、
その市場性は保たれて、13万戸超の「黄金期」を5たび迎えることができると思います