投稿日:2012年4月26日
「中古不動産の流通の促進」が国土交通省の大きな政策であり、住宅業界にとっても大きなポイントです。
それは、平成23年度の住宅着工が83万戸であり、この先の予測でも100万戸復活は厳しくて、20年後には半減高くの50万戸割れが計算されるからです。
それは住宅着工が、大きなマクロ要因として人口の増減数に影響されるためです。
現在で、全国の世帯数以上の住宅ストックがあります。ですので、人口が減れば、単純計算として住宅ストックは余ってしまい、新築住宅が減るというものです。
ただ新築住宅の着工戸数は、人口数だけでなく、人口移動数やライフステージ別の人口やライフスタイル別の人口数とそれに見合った住宅ストックの需要供給バランスにも左右されます。
例えば、東京都心の超高層免震防災マンションはまだまだ数が少なく、今後も建築されてきて、順調に売れると考えます。
それは、国勢調査の世帯構成の数と住宅ストックの数を地域別に合わせると、そのギャップが出てきます。
一番足らないのは2人家族向けの都心マンションの数です。この世帯は、「DINKS」が主にんなりますが、。最近は「姉妹」「女系親子」などが増えています。「山ガール」であったり、「自転車族」であったりする人たちです。
この人達にマッチする住宅が少ないです。
この新築住宅の建築促進は着々とするべきでありますが、「中古住宅の流通の促進」はメインテーマであります。
新築住宅の機能・性能の向上は目覚ましいものがあります。
「ウサギ小屋」からの脱却ということで、官民あげて取り組んできた成果といえます。
それからすると、中古住宅に対しては、やや取組が劣ったといわざるを得ないので、これから行うことになります。
■国土交通省のビジョンによると
この中古住宅・リフォームトータルプランの概要によると
「消費者・生活者視点に立って、安心して中古住宅を取得でき、リフォームを行うことができる市場の環境整備を早急に進めるとともに、既存住宅ストックの質の向上や流通の促進、多様なニーズに対応した魅力ある中古住宅・リフォームを提供可能な担い手の育成・強化の取り組みを総合的に推進する」
となっています。
■そのために、中古住宅流通を促す市場の環境整備として、6つあります
1. 「中古住宅に関する情報提供の充実」
アメリカでは、市場に出回っている物件の情報を全てお客様が把握することができます。
そのうえで、自分の買いたい物件と価格を決めることができるのです。
日本は、中古住宅の物件情報がどこにあるかわからず、いったい何件あるかもわかりません。
さらに、その地域の相場観さえ、キチンとしてものがなく、基準・指標がバラバラです。
これではお客様は、自分が買おうと思っている物件が「損か得か」を判断できず、中古不動産の購入は、ある意味で「バクチ」に近いものがあります。
それを、お客様が買いやすくなる状態をつくるために、情報の収集と開示を行うべきと思います。
2.「中古住宅流通に関するサービスの一体的な提供」
現在、お客様が中古住宅を買おうとすると、自分で確認しなければならない作業がたくさんあります。
一番は、住宅ローンが使えるかどうかわからないということです。「ローン解約」という言葉があるくらい、買おうと思って申し込みしたのに住宅ローンが通らないというケースか多いです。これでは、関係者の徒労に終わるばかりか、買おうと思ったお客様の「意思」「プライド」を傷つけてしまっているのです。一度、嫌な目にあったお客様は、不動産屋と銀行などの関係者に不信感を抱くとともに、二度と中古住宅を買おうとは思わなくなります。この「心理的潜在的需要を傷つける」ことが平然と行われていて、それが中古流通を阻害しています。
その他、登記簿なり所有権なり隣地境界なり、リフォームなり、電気水道ガスやネット環境なり、お客様に高度な知識・情報を要求していてるのが現在の状況で、これでは中古住宅を買う気はなくなります。
この機能を一元化して行う機能体を作りたいと思います。
アメリカで言えば「エスクロー」と呼ばれるものです。また住宅ローン専門会社及び専門商品です。
メガバンクが収益のためにやるのではなくて、中古流通のためのローンを作らなければなりません。
3.「中古住宅の品質の確保」
現在の新築住宅には、建築確認書はもとより、重要説明事項の付帯事項による設備などの説明書や、性能評価や、構造計算書や、地盤調査報告書などがついているのと、住宅設備に関する説明書が完備されていて、瑕疵担保もついています。
さらに言えば、ほとんどが、住んだ瞬間から、電気・水道・ガス・テレビ・インターネットが使える環境です。
それに比べると、中古住宅は、それらが完全にそろっているものは少ない状態です。
さらに、旧耐震であれば耐震改修しなければならないし、「次世代省エネ住宅」でなければサッシまわりなどリフォームしないと省エネ性は著しく落ちることになります。
そして、現在で一番の問題は地盤です。その物件の地盤はどんな状態の把握と、地盤改良などの対策はどうなっているのか、基礎はどうなっているのかなど知らなければなりません。それがわからない住宅が多いです。
それらを整備していく必要があります。
一番良いのは「住宅履歴」にデータを入れることで、さらにインスペクションという点検をする必要があります。
そして必要あらば、耐震改修などのリフォームをしなければなりません。
すでに住宅履歴システムは使いやすいものを作ってありますので、ぜひ使ってください。
4.「定期借家制度の普及」
郊外一戸建ての場合、子供が独立して夫婦二人さらには高齢の妻だけが住んでいる場合が多いです。
それを定期借家に出して、自身はその家賃相当で入れる、医療介護が充実したコンドミニアムなどに入ると、ストックの活用が促されます。
この医療介護が充実しつつ、まだまだ元気な「山ガール」のライフスタイルに合った住宅が少ないので、それを用意する必要があります。それと家賃収入を無税としする必要があります。それで初めて住宅ストックが流通します。
これも、すでに制度はありますので活用してほしいです。
5.「中古住宅の売買におけるトラブルの紛争処理
まずは瑕疵担保の加入の促進があり、さらには自動車におる任意保険のような制度を作る必要があります。
電話一本で手続きが行えて、何かあるとその担当者が全てやってくれるというものがあれば、お客様も安心です。
6.「住宅の品質に応じた価格形成の促進」
中古住宅流通の本命はこれといえるでしょう。
現在では、中古住宅の価格は15年から22年の原価償却が自動的にされてしまい、最終的には土地の路線価になってしまいます。その建物の使用価値とか、メンテナンスの良さとか、その分譲地の環境とかは全く考慮されません。
それを、建物の使用価値や品質・性能に応じた価格形成・相場形成する必要があります。
そのために、私及びアトラクターズラボは、過去の取引事例の分析を通じて、あるべき価格形成理論を構築しました。
中身としては「相場回帰的新築比較価値形成法」と「賃貸収益還元法」を組み合わせます。
それを全員に開示していきたいと思います。
これらを全て行って、「中古住宅の流通促進」を行いたいと思います。