投稿日:2012年4月20日
現在の住宅業界の一番の方針は「中古不動産の流通の促進」です。
それは
「新築中心の住宅市場から、リフォームにより住宅ストックの品質・性能を高め、中古住宅流通により循環利用されるストック型の住宅市場に転換する」
です。
下記は国土交通省の定めた概要です。
これは、人口減少・少子高齢化、正確に言うと「子供の数が減り、高齢者の数が増える」社会になったために、新築住宅の数、正確に言うと「新設住宅着工」が減るために、住宅産業の売上が減ってしまうから、中古住宅の流通を増やして、その売上とリフォームの売上を増やそうということです。
新設住宅着工数と住宅一時取得人口の数は比例します。
2011年10月の住宅一時取得人口(25歳から39歳)は2524万人いますが、20年後の2030年の同人口は1743万人まで▼800万人・▼31%減ります。
そのため平成23年度に83万戸であった新設住宅着工は、最大予測で55万戸で最低だと40万戸になります。
とすると単純売上で20兆円弱が6兆円減って14兆円になります。
また、住宅産業従事者は600万人以上いると言われていますが、それが180万人が失業します。
そのために、「中古流通中心の市場」に変えていこうというものです。
その具体策として
・5000万戸以上ある中古住宅ストックをリフォームなどして流通させる。
のですが、まずもってここが大きな問題です。
まず第一に、
「新築住宅の性能・機能が飛躍的に向上しているために中古住宅は大きく見劣りする。」
①現在の新築住宅は、「耐震性」に優れています。
性能評価制度の耐震等級2以上は震度6強の地震に耐えるが、2000年以前の建物の大半は厳しいと言えます。ましてや1980年以前の建物は震度6弱で倒壊する可能性が高いです。
今回の地震被害見直しにより、東京23区の7割が震度6強になると言われているので1980年以前の建物はほとんどが倒壊します。それで間取りが悪いと耐震補強ができない物件も多いです。
②「省エネ性」に優れている。
現在のエコポイント対応の「トップランナー基準」であったり、性能評価の省エネ等級取得の建物は、断熱材や開口部などの断熱性が高く、それ以前の建物とかなり違います。開口部はサッシを変えればいいですが、断熱材を後から入れるのは難しいです。
③基礎・地盤が強い
これは特に東日本大震災以降の建物は強化されているので、それ以前の建物とは大きな違いがあります。
従来は震度6強を想定しているので、震度7がくると言われている地域の建物は倒壊の危険があります。
あとから基礎・地盤の補強をするのは、かなりの費用がかかります。
その他、まだまだありますが、新築住宅の性能向上が著しいために、中古住宅との差が大きいため、リフォームでは埋めきれないものが多いです。
私は住宅産業の未来を明るいものにするためには、中古流通促進も必要ですが、新築住宅の維持させる工夫も必要だと思います。
具体的には
①60歳前後で、子供は皆独立し夫婦のみになり、仕事も定年退職か役職をはずされて比較的軽い仕事となり、プライベートの時間が増えた世代向けに、駅近くの高層マンションで下に医療モールや商業モールを入れた新築分譲を作り、買ってもらう。「セミリタイヤタウン」とする。
それまで住んでいた郊外一戸建てはリフォームして売るか、賃貸に出す。
②75歳を超えて、伴侶が死亡し、一人で生活するにはやや支障がでてきたら、「ケアタウン」を購入する。郊外の平屋で医療を伴うケアハウスセンターを中心とした街を作る。これは「セミリタイヤタウン」を売ったお金で入るか、年金相当の家賃で入る。
従来の住宅で着工は50万として、これらの高齢者タウンで50万戸作れば、住宅着工は100万戸復活です。
日本は超高齢化社会に入るのは確実なのですから、それに対応した住宅を用意することは必要で、それで住宅産業も維持できると思います。
また、60歳から75歳までの元気な「セミリタイヤ世代」を楽しく豊かに生活できるようにするのは大切だと思います。
気軽に、「ちい散歩」などの散歩にいけて、「山ガール」の登山にいけて、海外ショートステイなどにも気軽に行ける基盤が必要だと思います。