投稿日:2012年4月18日
「デフレの正体」の藻谷さんの講演を聞いて思ったのですが、「少子高齢化」という言葉はキライだということに共鳴して、むしろ「子供の数が少なく、高齢者の数が多い社会」と言ったほうが正しいと思いました。
本日の日経新聞に
「総人口 最大の25.9万人減。」「日本経済に一段の重荷」「少子高齢化で本格的な人口減社会」
とありました。
まず、25.9万人減少と言いますが、総人口1億2779万人で言うと「マイナス0.2%」です。
統計学的に言うと、「誤差」の範囲になります。
国勢調査の結果ですから、世界に冠たる統計調査なので間違っているとはいいませんが、「マイナス0.2%」と言えば、「減少」ではなく、「現状維持」ではないですか。(この辺は藻谷さんと同意見でした)
2012年4月現在での問題点と言えば、65歳以上人口が増えたということです。さらに言えば75歳人口が増えたことです。所得税を納めず、年金を受け取り、医療費・介護費を大きく使う人間が増えたということです。
2012年度の国の予算がこの前国会を通りましたが、税収が40兆円くらいなのに、支出が90兆円になります。その支出のかなりの部分が医療・介護などの社会保障費です。
まずはこれが問題で、25.9万減少という数字は全く意味がありません。
さらに言えば、団塊世代が700万人いますが、この方たちが今年から65歳になります。この方たちは非常に元気で、700万人みんな揃って65歳になりました。
藻谷さんによると「日本歴史上初の、4人兄弟がそのまま65歳になる世代」と言いましたが、なるほどです。
1947年から49年に生まれた人のほとんどが、平和で高度成長の明るい日本を生きて、病気で死ぬことはなく、元気に65歳を迎えたのです。
そして今年から堂々と年金をもらうようになるのです。そりゃ、年金財政はたいへんでしょう。
15歳以下の子供の数が少ないことと言えば、この問題は今後の生産年齢人口が減るということですので、実態経済に表面化するのはまだ数年先でしょう。むしろ、この先数十年に渡る問題で、その解決には子供を増やすことですが、その解決の効果が出るのも数十年先になってしまうということです。
また、私は「15歳から64歳は生産年齢人口」ということに違和感を覚えます。
住宅一次取得年齢は28歳から38歳で、この年齢帯だけで新築分譲の7割を買うのです。
一番お金を使うのは、子育てをしているときです。
ですので、平均的に言えば28歳から48歳くらいまでです。たぶんこの年齢帯の消費額は全体の半分以上になると思います。
とすると、日本経済に影響を与えるのは25歳から50歳と言ってもいいと思います。
「消費世代」と言ってもいいかもしれません。この年齢帯の人数の増減の問題です。
また、住宅で言えば、人口の人数もありますが、移動する人数も大切です。
一番多いのが、地方から東京に大学入学して、そのまま就職して賃貸住宅に住み、結婚をしてから分譲住宅を買うひとが多いのです。
一年代の人数が100万人に減っても、例えばその8割の80万人が動けば、単純に言えば80万戸の住宅が必要になります。
住宅着工で言えば、「人口減少」が問題ではありません。移動が無くなることが問題です。
東京流入が減ってきていますが、それ以外に地方に工場や事務所を作り、そちらへの移動を増やすのがいいと思います。