投稿日:2012年4月10日
スマートハウスの実証実験を東京大学の駒場キャンパスに見てきました。
2020年に広く普及するスマートハウスを目指し、住宅エネルギーマネジメントシステムを実証実験しています。
東京大学生産技術研究所と株式会社LIXILの共同実験で、「COMMAハウス(COMfort MAnagementハウス)」というものです。
目的は
「ユーザーの多様なライフスタイルに応じ、家庭用太陽電池や蓄電池等のエネルギー機器、家電、住宅機器について外部コントロールを可能とすることによって、住宅全体におけるエネルギーマネジメントを実現し家庭から排出されるCO2を半減する」
です。
できたのが2011年8月ですから、東日本大震災後なので、いろいろなところがやっている「スマートハウス」の中では最新であり、震災以前の原子力依存の電気供給から、脱原発により電気供給野中で再生可能エネルギーの率を上げるという変化に対応したものです。
そのため、特徴は
「HEMSによる住宅の需要の能動化」です。
これは、太陽光発電や風力発電などによる電力供給は天候などに左右されるため不安定となります。
そのため供給が不安定にならざるをえなければ、需要側もそれに合わせて変動させなければならないということです。つまり、電力使用を供給に合わせて、給湯・蓄熱などをコントロールするのです。
そのために、太陽光発電と太陽熱集熱器で作ったものを蓄電池や貯湯タンクなどが必要となり、さらには自然風を活かす、窓の配置とかも考えられています。
非常に真面目に考えられているなというのが素直な感想です。
電力危機と地球環境対策CO2削減という難しい局面の中で、ひとつの方向性であるのは確かです。
ただ、「夢」が感じられない。
住宅は「家族の幸せ」や「子供の成長」や「夢と感動」がなければいけないと思います。
住宅は手段であり、目的ではないのです。
その手段の効率化や高機能化を進めても、「家族の幸せ」の向上につながるとは限りません。
大事なのは、経済的な豊かさではなくて、「人間が支え合う喜び」ではないかと思います。
電気自動車も「Fun to Drive」を忘れたら、自動車ではなくなり、誰も買う人がいません。
住宅はこのへんのマーケテイングが非常に弱いです。
高機能だから高価格になるとは限らず、「高機能低価格」となりコスト増となってしまい利益が減るばかりです。
戸建分譲の「省エネトップランナー基準」は機能は向上しましたが、価格を上げることはできませんでした。
住宅は不動産なのです。
不動産の価格形成は、別の要素で成り立ちます。
戸建分譲住宅の平均価格3600万のうち、高機能の部資材が占めるコストは600万というところでしょう。
ところが、販売価格もしくは付加価値にしめる割合は最大でも100万前後ではないでしょうか。
つまり住宅は「素材・部資材」と「技術」と「作る人」と「使う人の使いやすさ」と「住む人の喜び」を満たす必要があります。
また、住宅は単体でなく、集合体として考えなければなりません。
家は一軒でなりたつものではなく、共同体であるべきです。
スマートハウスには最先端技術を活かされていますので、そこに「住宅行動経済学」と「日本人の住宅新文化」を足す必要があるでしょう。
この後者2つは、まだ出来上がっていません。私が年内には作りたいと思ってます。