投稿日:2012年3月29日
今回の公示地価の震災の影響を行動経済学瀧に解釈してみます。
地震による危険度の判定と地価について行動経済学的に検証するとプロスペクト理論において、現状維持バイアスが働いているとみられるなど、象限により働くものが変わるというかウェートが大きく変わっています。
プロスペクト理論とは「人間は、損失を利益より過大に見積もってしまう」というものです。
また、プロスペクト理論では、二種類の認知バイアスを取り入れている。
一つは、「確率にたいする人の反応が線形でない」というものである。もう一つは、「人は富そのものでなく、富の変化量から効用を得る」というものである。
それで価値関数と確率過重関数が基本となります。
価値関数
・確率加重関数:
そして今回の地震危険度と地価についてのスペシケーションは
。
これであらわされることになります。
これらをグラフにすると、右肩下がりの線を描きます。
危険度が上がると地価は相対的に高いものとなっています。
それはなぜなのかというと
確率過重関数が非対称であるためと、期待効用関数も非対称になっているためです。
そのためにウェートが変わってしまっているのです。
これは
・相対的に安全な地域では・・・・「ゼロリスク志向」
「地域危険度ランキングが上昇して相対地価が大きく下落する変化率」よりも「地域危険度ランキングが低下して相対地価が上昇する変化率」の方が大きい。
・相対的に危険な地域では・・・・・「現状維持バイアス」
「地域危険度ランキングが上昇して相対地価が大きく下落する」一方で「地域危険度ランキングの低下については相対地価がほとんど上昇しない」ということです。
このために、今回の公示地価の被災地において、安全な台地が大きく上昇する地点が出たということになります。
これは今後、首都圏でも同じことか起きうると考えられます。
安全な土地は大きく上昇し、危険度が高い土地の下落は少しにとどまるということです